点字導入の学習プログラム  


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 この「点字導入学習プログラム」は、盲学校に入学してきた盲児用として初歩から点字を指導するために作成したものです。
 点字導入は、小学生の学齢の児童だけでなく、視力低下によって墨字から点字に切り替える場合や大人になって中途失明になった場合などにも必要となる指導です。言葉や文字をどれだけ知っているか、墨字を使用した経験があるかなどによって、点字導入の方法も異なると思われます。個々に対応した導入方法が計画され、それに伴った資料と指導方法が準備されることが望ましいのです。
 その指導方法には、統一されたものがあるわけではないですが、平成7年に文部省から出された「点字学習指導の手引き(改訂版)」があり(現在表記の変更による改訂作業が行われているようです)、点字指導全般に関わる視点や基本的な考え方、指導方法や資料例などが詳しく掲載されていますので、参考にしてください。
 この資料は、その基本的な考え方を取り入れた上で、今までの経験や児童の実態を把握した上で工夫して作成したものです。どの学習者にもこのパターンが適しているというわけではありませんが、学習者の実態や能力に応じて指導内容を工夫していくことが大切で、その参考として、これを活用していただけたらと思います。
点字導入学習プログラムのテキスト(全57頁)のダウンロード →
でも、点字プリンター印刷した資料の提示は避けてください。点間が小さくて初心者には
不適当な点字です。パーキンスブレーラーで打ち直すことをお勧めします。     
  
 BES形式 
 テキスト各頁の資料の解説と指導のポイント     テキスト形式   BES形式 

  国際浮出印刷株式会社から「点字導入学習プログラム」が製本化されました
             中途失明者の点字指導に有効なのではないかと思っています。

特長は (1)特殊UVインクでパーキンスブレーラーの点字の大きさを実現。非常に触りやすいはっきりした点字です。
      (2)各頁に見開きで「資料の解説と指導のポイント」が書かれていますので、指導の際に活用しやすい。
      (3)点字にすべて墨字が付いていますので、点字を読めない家族や友人にも確認ができます。
      (4)1枚ずつ提示できるように、ファイリング形式の冊子です。                   
   
「点字導入学習プログラム」の表紙の様子。
点字導入学習プログラム冊子の表紙
見開きの様子。左側は墨字で指導のポイント、
右側は墨字と点字併記の学習内容
  冊子は点字の普及を目指して作成し、2002年7月〜9月に希望者に1,000冊を無料配布し、大変喜ばれました。その後も、希望に応えて増刷しましたが、特殊印刷のため、原価が非常に高いため、以後の無料配布を断念いたしました。
  希望者には1冊3,000円〜5,000円の寄付をいただく形で、お分けしています。ご注文は、以下の取扱先にご連絡ください。
取扱先    国際浮出印刷株式会社  代表取締役社長  飯嶋徳麿(いいじま のりまろ)           
〒101-0054  東京都千代田区神田錦町2-2 篠木ビル
   TEL  03-3292-8771 FAX  03-3292-8770  E-mail  pes@tky3.3web.ne.jp
    編集者  点字導入支援グループ 道村静江  E-mail  smicchi@olive.ocn.ne.jp     

   点字導入指導実践例 
【上記のプラグラムを活用した小学1年生児童の入学時からの指導の様子】
                    上記のプログラムを活用する際に、併せて参考にしてください。 

指導計画作成にあたっての留意点
 この資料をどのように使うかは、各頁ごとに「資料の説明と指導のポイント」を記載しておきました。その中には、点字をとらえる考え方(縦半マスずつの継時的な触読)、指の使い方や動かし方、両手読みの方法など指導全般に関わることも盛り込みました。
 その他にも、資料作成や指導計画の作成に当たって留意しなければならないこと、気付いたことなどが多くありますので、それらを次に挙げておきます。
 (1) 通常、点字導入に先立って、6点の位置や形、連続した点字の行などを提示して、マス数を数えたり、線の太さや長さ、途中のマスの空き具合などを弁別する初期学習が行われます。
 その中での指導のポイントの一つである両手読みの動作の制御と行・行間のイメージの形成のための行たどり指導については、それらを十分に行っても、文字を導入する際には手の動きが止まり、行たどりの意識が薄れてしまうので、あまり効果は期待できません。
 それよりも、文字が入り単語が読め文章練習に入ってある程度スピードが出てきた段階で、両手読みの手の動かし方を意識づければ十分に身に付きますので、初期学習の時にそれほど意識しなくてもよいと思います。
 
 (2) 最初に接する点字は、パーキンスブレーラーという点字タイプライターの点が最も読みやすいように思われます。この点字は点字盤や点字器よりも点がはっきりしていますし、1マスの大きさは他のとあまり変わりませんが、マス間が大きいので文字が大きく感じられます。
 子どもと大人、あるいは個人差で肌の敏感さが違うので、パーキンスブレーラーの点でも読み取りにくければ、ジャイアントドットの点字器を活用する場合も考えられます。その場合、資料の作りにくさやいずれは通常の点字の大きさで読めるようになるところまで段階を追って指導しなければならないことを指導者側は承知しておかなければなりません。
 点字プリンターの点字の大きさは機種によって様々です。中でもよく使われているESAの点字プリンターの点は大きさも盛り上がり方も比較的はっきりしていて読みやすいと思われますが、パーキンスブレーラーに比べるとマス間がやや狭くて小さく感じられるので、資料作りが容易であるからといって初期段階での使用は避けた方がよいです。
 提供したプログラムはデータ化してありますが、これを参考にしながら手作りの教材化が望ましいです。
 いずれの方法を採っても、点字プリンターや既版の点字書物を読めるようにしなければいけませんので、それらへの移行を視野に入れた点字教材提示を計画的に行ってください。
 
 (3) 初期の学習時は、ファイリングしてある冊子や製本されたものなどでの提示は避けた方がよいです。紙が浮いたりカーブしたりして、指への当たり方が一定でなく、点字自体が動いて触りにくいので、平面の上に1枚ずつ置いての提示がよいです。
 
 (4) このプログラムの配列は、ナ行を例外として、主に五十音順に文字を導入していく方法を採っています。それは、誰もが知っている五十音のどこまで読めるようになったかという到達度合いを知ることで励みにもなり、各行ごとのまとまりや規則性も見つけやすくなると思ったからです。
 
 (5) 点字を導入する際に最も難しいと思われるのが、鏡文字の区別です。これによりせっかく覚えた文字も混乱し、触読学習がいやになる場合も多く見られます。そこで、このプログラムでは、文字を順に導入するに従って増えてくる鏡文字を徹底的に復習しながら進む方法を採っています。
 
 (6) 文字を読めればいいという指導に陥らずに、指の形や置き方、動かし方に十分に気をつけた指導を行うことが大切です。時間をかければいずれは読めるようになるかもしれませんが、最初に身に付いた指の形や動かし方はなかなか直らず、その後の読速度や学習効果に大きな影響を及ぼすことになります。
 特に、指を上下に動かさない指導は大切で、指を持ってあげて真横に移動して感じさせる練習をするとよいです。その時の指の感じ方は六つの点を一つの形として覚えさせるのではなく、縦半マスの継時的な線の構成で感じさせていく。また、指の置き方は行に沿って四本の指が並ぶ形が理想的で、紙を押さえたり、指の横移動を助けたり、行末の長さを確認したりするのに有効です。
 
 (7) 左右どちらでも読めるように、初期の段階から意識して一つの課題ごとに左右とも練習させ、どちらかが優位にならないように気をつける必要があります。これは、両手読みの速度向上にもつながり、ケガをしたときや転写の時などにも役立ちます。
 
 (8) 記号・符号類は、文章練習に入ってからの導入で十分です。単語練習の段階では、混乱を招くだけです。
 
 (9) 文字導入の段階では、1行あけ教材の提示がよいです。行あけがないと初期の指の制御が上手にできない段階では、上下の行を触って混乱してしまう場合もあります。また、1頁に多くの点字が並んでいるとそれだけで嫌気がさしてしまうことも考えられます。
 文章が読めるようになってからもしばらくは、短い文章の1行あけがよく、行あけなしの教材は、ある程度の文章の長さに慣れてからでもよいと思われます。
 
 (10) 点字の導入には読み指導と書き指導があります。読みにはとにかく時間がかかり、これを克服しないことには書きだけやっても実用化はできません。読みの習得に比べて書きの習得は容易に達成することができますので、書きの指導は、読み指導の後半に徐々に行っていけば十分です。
 また、読みの指導は点の番号を意識しない縦半マスの線の形で行っていくのに対して、書きは点の番号で入れていきます。その導入の仕方が違うことで、書きを早くに行うと、読むときに点番号を意識した読みとりになる可能性も出てきて、縦半マスの導入がうまくいかないことも考えられます。
 個々の学習者の技能や能力によってもこのことは変わってきますが、あまりにも読み学習に困難さを伴い意欲をなくすような場合には、書きの指導を入れて、点字が書ける喜びを体得させるのも一つの方法です。