「点字導入学習プログラム」
資料の解説と指導のポイント
1頁
 @ABの点からだけの文字 「アイニワナ」
★ページ冒頭のタイトルは、指導者用のもの。(以下同様)
★指のスタート位置を確認するために、文字の前にの字を置いた。(以下同様)
★点字は六つの点からできていることは、すでに導入済みのこととする。
から少しの隙間しかないが、次にくる点が
  「上の1点」なら「ア」
  「上の短い棒」なら「イ」
  「長い棒」なら「ニ」
  「下の1点」なら「ワ」
  「上と下の離れた点」なら「ナ」
と解説しながら、指でよく感じさせる。
★指はから平行に横に移動させ、上下はさせない。後半の続いた言葉を読み取らせるときには、特に指の上下をさせないことが大事になる。
2頁
 @ABにCの点を加えた文字 「ウエネオ」  長い棒と短い棒 
★点字は継時的に読みとる(指に当たる点は縦半マスずつで、それが次々と時間的な経過を経て入ってくる)文字であるので、六つの点を一つの形としてとらえさせるのではなく、縦半マスずつの点や棒を認識させ、その組み合わせで一つの点字を認識させていく。その方が、読速度を高める上でも有効である。
★縦半マスの構成の中で二つの点や三つの点の連続は棒のイメージでとらえられるので、これから導入していくに当たり、それらの棒のイメージをしっかり指で感じさせて、言葉で確認する。
★ここでは、三つの縦の点からなるものを「長い棒」、二つの縦の点からなるものを「短い棒」と確認させ、ABの点からなるような下の短い棒はまだ混乱するので登場させていない。一点か、あるいは短い棒か、長い棒かの確認をしっかりさせる。★「ウ」の導入は縦半マスの意識はなく、横棒と簡単に認識してしまうので、上記の考え方にはこだわらなくてもよい。
★「エネオ」の導入の書き方
縦半マスずつの意識をはっきりさせるために、あえて一マスずつに分離させて表した(正式な点字ではない)。その間隔を次第に短くし、最後に正式な文字を提示する。(以下同様)
「エ」・・・最初に上に短い棒がきて、次に上に一つの点がくる。
「ネ」・・・最初に長い棒がきて、次に上に一つの点がくる。
「オ」・・・最初に真ん中に点がきて、次に上に点がくる。
このように、言葉で解説しながら縦半マスずつのイメージを持たせる。
★指が上下に動いてしまうと、真ん中と上の点の区別がつかないので、絶対に上下運動はさせない。そのためには、指を持って平行に動かせるように誘導するとよい。
3頁
 @ABにCの点を加えた文字 「ヌノ」の導入 
★この頁から、最初に指の位置確認のために置いたの字をに変更する。(以下同様)
の字だと次にくる文字とのマス間が狭く、初心者には最初の縦半マスの認識ができにくい。を前置することで、指の縦のスタートをはっきりさせ、次にくる点との間隔もあいていて確認しやすくなる。
★「ヌノ」の説明
「ヌ」・・・最初に上と下の離れた点がきて、次に上一つの点。
「ノ」・・・最初に下の短い棒がきて、次に上一つの点。
★指先の角度は、縦三つの点がちょうど指の腹に当たるようにさせる。初心者は、指を立てて爪の近くでひっかくように点を確認しようとする傾向がある。だから、第1第2関節の角度が大事になり、伸ばし気味にして触らせる。曲げて読むような癖がつくと六つの点が一度に正確に触れなくなり、上下運動してしまう。指を持って指導するときには、関節を固定して持つ。
また、初期には必要以上に力を入れて紙を押しつけてしまうので、指を持って指導するときに軽く触るタッチも体得させる。
★指の傾きは、に指を当ててスタートさせるときに、縦の線と指が平行になるようにすることが大事である。点字を読むときの指先の傾きは最初についた癖がいつまでも残るので、特に注意する。人によってはこの角度は様々であるが、行たどりの時に他の3本の指を行に沿って置く指導を後半にするが、その時にこの指先の角度が非常に大切となる。
★最後の3行は「ナニヌネノ」の復習であるが、前後にを付けた。指の傾きが正しいか、上下運動をしていないかを確認し、文字を読み終えた後に定位置に戻っているかを確認するためのものである。
4頁
 「アイウエオ」「ナニヌネノ」「ワ」の復習 
★わずかであるが、覚えた文字で意味ある言葉を読めるようになったことが体感できて、達成感と次なる学習意欲が生まれると思われる。ここでは、言葉が読めるようになったことを共に喜んであげたい。
★マス間は通常のものであるので、一つ一つの区別が難しいと思われるが、ゆっくり指を動かして縦半マスずつの構成で覚えた文字を思い出させる。不確かなときは前の頁に戻って行う。★「アワ」 のような点の位置だけの確認は特に難しく、上下運動をしないで真横に指を動かさないと読みとれない文字である。
5頁
 「ヤ」と「アイウエオ ナニヌネノ ワヤ」の復習 
★「ヤ」の導入
「ヤ」・・・最初に下に点がきて、次に上に点がくる。
 指の傾きを正しくし、最初に下の1点だけを触るような指の動かし方をする。指が右方向に傾いていると下と上の点を同時に触ってしまい、「ナ」との区別がつかなくなってしまう。
★中段に「ヤ」と「ナ」の区別を書いておいた。前半は「ヤ」だけに意識を集中して覚えたが、後半は「ナ」との区別が必要になる。点字の難しさが際だってもいけないので、語例は少なくした。でも、指の傾きが大事であることを本人にも意識させる。は特に難しい。
6頁
 @Eの点からなる文字 「カ」、 「ナ」「ヤ」「カ」の区別 
★「カ」・・・最初に上の点がきて、次に下の点がくる。
ここで、もう一度指の傾きと平行移動をしっかりマスターさせる。
★「ナ、カ、ヤ」の区別
言葉で覚えた最初にくる点の位置と次にくる点の位置を、指で感じることと一致させ、区別させる。
★縦半マスずつの説明を徹底する。左斜め線とか右斜め線とか形で覚えないようにさせる。形で覚えさせると、指を止めて読んでしまう。
★自分で点の位置を感じとることが難しければ、指を持ってあげて動かしながら点の位置を言ってあげるのもよい。そうすることによって、こう感じているのがどこの点だと逆に理解できるようにもなる。
★この三つの文字はいつまでも間違えやすい字で、最後まで課題となることが予想されるので、点の位置を覚え、指の動かし方がある程度できたら次に進んでもよい。何度でも振り返ることができるので、この難しさで点字嫌いになったら困るので、しつこく指導しない方がよいかもしれない。
7頁
 「キ」の導入と「キ」「ノ」の区別 
★「キ」・・・最初に上の短い棒がきて、次に下の点がくる。
★「キ」「ノ」の区別は、最初の線と次の点の構成は同じであるが、場所がどこにあるかによって違う。上か下かをよく確認させる。
★このように、新しい文字を導入したときに、今まで覚えた字との区別をはっきりさせておくことも大事である。
★今までの文字も忘れないように、どんどん言葉を読む練習をするために単語の例を多くした。
★点字を読む技能も速さも右手・左手ともに同じにしておくことが大切である。だから、文字を導入する際にも、左右同レベルで読ませる練習を積み重ねていかなければならないが、手を替えることによって混乱を招く場合は、最初に優位と思われる方の手で導入し、頭に入ったイメージをもう片方の手で確認するという方法もある。結果的には、1頁毎にどちらの手でも読めるようにする。
8頁
 「ク」の導入、「ク」「ヌ」の区別 
★「ク」・・・最初に上の点、次に上と下の離れた点
★「ク」「ヌ」の区別
前(まえ)半マスと後(うし)ろ半マスの構成で、どちらが先にきているかによってすぐに何という字かを思い出せるようにする。
★このように左右対称となっている文字を「鏡文字」と言っているが、点字にはこの鏡文字が多数出てくる。この読みとりが初心者には混乱を招き、点字学習がいやになる原因ともなる。指は点の場所を感じていても、鏡文字のどちらかだったかをすぐに言えないでイライラすることも度々である。
 その解消のために、新しい文字を導入したら今まで覚えた字の中の鏡文字を復習し、その区別をはっきりさせていくことが必要になる。このプログラムはそのことに重点をおいた配列になっている。
9頁
 「ケ」「コ」の導入 
★「ケ」・・・最初に上の短い棒、次に上下の点。
 「コ」・・・最初に真ん中の点、次に上下の点。
★この二つの字は前半マスが違っていて、後ろ半マスは同じである。鏡文字は出てこないので、前半マスの区別さえできれば簡単である。
★後半にカ行の確認をする。
これでカ行も覚えて、ア行やナ行の簡単なもの以外に五十音の1行を覚えたという達成感も出てくると思われる。
★下の語例の中に、一音ずつ一マスあけで書いたものがある。一文字ずつが離れているので、この方が読みやすければ以後の教材をしばらくこの方法で行ってみてもよい。ただし、一マスあけることによって、指の平行移動が乱れるようであれば、このような教材の与え方は好ましくない。
10頁
 「サ」「シ」の導入 
★「サ」・・・上の点がきて、下の短い棒がくる。
 「シ」・・・上の短い棒がきて、下の短い棒がくる。
★「サ」「ノ」の区別(鏡文字)
鏡文字が次々と出てくる。鏡文字がある字の導入は、初期段階では1頁1個として丁寧に指導したい。鏡文字のない字は比較的すぐに覚える。
★この頃になると、縦半マスずつの導入方法が定着してきて、一つの文字を認識するのはそれほど困難ではなくなってくる。指の点の認知も慣れてきて、指は十分に感じているけれども、覚えた字が増えるに従って何という字だったかを思い出すのに苦労する。そのためにも、鏡文字を整理させ、指が点を感じている間に文字をすぐ言うように促すとよい。言葉が出ないと指も止まってしまい、何度も指で確認しようとする傾向が出てしまう。
11頁
 「ス」「セ」の導入 
★「ス」・・・上に点がきて、長い棒がくる。
 「セ」・・・上の短い棒がきて、長い棒がくる。
★「ス」と「ネ」の鏡文字の確認。
★「ス」と「セ」は後ろ半マスが同じだから、前半マスの違いを確認する。
12頁
 「ソ」の導入とサ行復習 
★「ソ」・・・真ん中に点がきてから、長い棒がくる。
★サ行の確認。
★鏡文字が徐々に多くなってくるので、間違えやすい字の確認。
学習者にとってつまずいている字があれば、それらを取り上げる。ここでは、「キ、ノ」「ヤ、ナ、カ」「ク、ヌ」「ネ、ス」「エ、ケ」「コ、オ」を取り上げた。
13頁
 「タ」「チ」の導入 
★「タ」・・・上と下の点がきて、真ん中に一つ点がある。
 「チ」・・・長い棒がきて、真ん中に点がある。
「タ」は後ろ半マスの真ん中の点を前半マスの点の位置から感じとる。前半マスの後に横移動がスムーズにできていればわかる。
★「タ、コ」と「チ、ソ」の鏡文字の確認。
★語例のところでは、鏡文字をほとんど入れないで、この頁で導入した文字を中心に言葉を作ってある。学習者もその先入観で読んでしまうため、スムーズに読める可能性もある。もし、その傾向が強いようであれば、あえて鏡文字が入った言葉を提示してよいかもしれない。しかし、あまり難しくしすぎて混乱を招かないように注意する。
14頁
 「ツ」「テ」「ト」の導入 
★「ツ」・・・上下の点に、上の短い棒
 「テ」・・・長い棒に、上の短い棒
 「ト」・・・下の短い棒に、上の短い棒
この辺りまでくると、縦半マスずつの解説を簡単にしても十分理解できるようになっている。
★「ツ、ケ」「テ、セ」「ト、シ」の鏡文字の確認
★タ行の文字の確認
タ行は習った字の中に全て鏡文字があるので、ゆっくり丁寧に確認していく。頭の中での整理も必要。
15頁
 ア行、カ行の言葉 
★新しい文字の導入ばかりやっていたので、この辺で一休みして、今までの復習をする。
★行毎に言葉がまとまっているので、思い出しやすいと思う。
★指を持っての指導(上下運動を止めさせて平行移動を促すこと)が定着してきたら、徐々に軽く持つ、そっと触るの持ち方に変えて、止まらないで一定速度での横移動を促していく方法に変える。
16頁
 サ行、タ行の言葉 
★サ行、タ行になると、鏡文字が急に増えて混乱してくる。
ここを完全に覚えてからと思うと先に進めなくなるので、学習者の意欲と照らし合わせて復習の度合いを考えてもよい。
この辺りが鏡文字の第一の山場である。苦手な文字はかなり最後まで尾を引くことになるが、仕方がない。
★ここまでくると、ずいぶん読める言葉が増えてきた。
ナ行もすでに済んでいるので、五十音の半分が読めるようになったことで、学習意欲にもつながると思われる。
17頁
 「ハ」「ヒ」「フ」の導入 
★「ハ」・・・上下の点に、下一つ
 「ヒ」・・・長い棒に、下一つ
 「フ」・・・上下に、上下(というよりも、これは横二本線と言った方がわかりやすいかもしれない。)
★ハ行は、まだ鏡文字が出てこないので、導入しやすい。
18頁
「ヘ」「ホ」の導入 
★「ヘ」・・・長い棒に、上下
 「ホ」・・・下短い棒に、上下
★ハ行の確認。ハ行は鏡文字がまだ出てこないので、すぐに覚えられて、学習意欲が湧く行である。ハ行だけではすぐに終わってしまうので、後半は苦手な文字を取り上げた。学習者に合わせて文字を選ぶとよい。
19頁
 「マ」「ミ」「ム」「メ」「モ」の導入 
★「マ」・・・上下に、下短い棒
 「ミ」・・・長い棒に、下短い棒(後半上が空いている)
 「ム」・・・上下に、長い棒(前半真ん中が空いている)
 「メ」・・・全部の点
 「モ」・・・下短い棒に、長い棒(前半上が空いている)
★マ行は点が多いので、今までの導入の仕方だけでなく、どこに点が空いているのかもポイントになる。
★文字自体の導入はすぐにできて、1頁5文字の量も多くはない段階に入ってきた。特に「メ」は問題なし。
★それよりも鏡文字の確認の方が重要になってきている。
「マ、ホ」「ミ、モ」「ム、ヘ」
混乱するようなら、ハ行に戻って確認をする。
「ミ、モ」「ム、ヘ」は空いている場所による確認の方が速く理解できるかもしれない。「マ、ホ」は少し難しい。
20頁
 マ行の復習 
★マ行の鏡文字の復習。この辺りが鏡文字の第二の山場である。これを過ぎると五十音征服は目前だと励まそう。
21頁
 「ユ」「ヨ」の導入 
★「ユ」・・・下一つに、上下
「ユ、ハ」の鏡文字の区別
★「ヨ」・・・下一つに、上短い棒
鏡文字の「キ」以外にもよく似た「ノ」「サ」があり、その区別に少し時間をとる。
★ヤ行の確認
22頁
 今までに習った字を思い出す 
★前半は、縦に五十音が並んでいるので、この中で読めていない字、こんがらがっている字を確認する。きれいに並んでいることがわかってしまうと予測読みをしてしまうので、アトランダムに触らせるとよい。
★後半は、苦手な文字を提示する。
23頁
 「ラ」「リ」「ル」の導入 
★「ラ」・・・上一つ、真ん中一つ
 「リ」・・・上短い棒、真ん中一つ
 「ル」・・・上一つ、短い棒
★点が少ないことやア行がしっかり入っていることで、比較的わかりやすい行である。
★「ラ、オ」「ル、エ」の鏡文字の区別
「ラ」を解説するときは、単純な形から「オ」の反対であると言ってもよいかもしれない。
24頁
 「レ」「ロ」の導入 
★「レ」・・・上短い棒二つ(というよりも上4つの点)
 「ロ」・・・真ん中一つに、上短い棒
「レ」はすぐにわかる。
★「リ、ロ」の鏡文字の区別
★後半、ラ行の鏡文字の確認
25頁
 「ヲ」「ン」と上下の区別 
★「ヲ」・・・「オ」が下がった字
 「ン」・・・「ロ」が下がった字
を起点に置いて上にあるか、下にあるかを確認する。
指の平行移動ができていればすぐに確認できる。
これが語中にあると、その点を触ろうとして指が右下に移動してしまう傾向にあるので上下の区別がつかなくなってしまう。真横に動かす必要性をもう一度確認させる。
★これで五十音完成!
ここまでよく頑張ったことをほめてあげよう。
26頁
 ア行から、カ行の言葉 
★五十音の完成を機に、もう一度復習して、苦手な文字を克服する意識を持たせ、自分自身でも何の文字が覚えきれていないかを確認させる。
★忘れてしまったら、一行目に文字が提示してあるので、そこで確認する。
★この辺りになると、手を添えなくても軽いタッチで一定速度で読み進められるようになっていると思われる。(個人差があり、もっと前の段階でできるようになっているかもしれない。)
手が離れたら、親指以外の8本の指の置き方に気をつけよう。
★指の置き方
 人差し指は、行に対して垂直に置いて読み進めていくのは当然のことだが、他のそれぞれ3本は行に当たるように置く。そのためには、中指や薬指は少し曲げ気味にするとよい。左手の3本指の役目は、紙が動かないように軽く押さえることと、左手の人差し指を右へ右へと送っていくためのもの。右手の3本指は、マスあけの次の文字の存在や行末の長さの確認のために使われる。右手で行が終わりそうになることがわかったら、左手が次行の読み始めの準備を始める。
 この指の置き方が、文章を読むときの大きな助けになるので、そろそろ身につけさせるようにするとよい。
27頁
 ア行から、サ行の言葉  ★26頁の注意参照
28頁
 ア行から、タ行の言葉  ★26頁の注意参照
29頁
 ア行から、ナ行の言葉  ★26頁の注意参照
30頁
 ア行から、ハ行の言葉  ★26頁の注意参照
31頁
 ア行から、マ行の言葉  ★26頁の注意参照
32頁
 ア行から、ラ行の言葉  ★26頁の注意参照
33頁
 ア行から、ヤ行、ワ行の言葉  ★26頁の注意参照
34頁
 長音符(ADの点) 上中下の区別 
★横棒であることはすぐに覚えられるが、それがどこにあるかの認識が大事である。
★上段の区別は、「上、中、下」と言わせる。
★長音符を使う言葉。この例の中には「ウ」が出てこないのですぐに読めるようになる。
★ここから、語例にはを前置していない。
35頁
 アイウエオの歌1 
★長音符が加わったことで多くの言葉が読めるようになった。★小学1年生の国語教科書の巻末にあるのを引用した。
各行の最後に五十音が並んでいるので、確認できる。
36頁
 アイウエオの歌2 
★前頁の歌をとても喜んで楽しく読んだ。リズムもよいので、すぐに覚えてしまい、もっとこのような教材で五十音の復習が必要だと思い、自作してみた。濁音・拗音がまだ使えないので、苦しい言い回しがあるが、ご容赦願いたい。
★学習者が興味を持てる教材であれば、何でもよい。
37頁
 ア行とカ行の歌 
★自作の言葉集めで意味のつながらない部分が多数あるが、ご容赦願いたい。
★濁音が使えないとはこんなに不便なものかと思った。
38頁
 サ行とタ行の歌 
★自作の言葉集めで意味のつながらない部分が多数あるが、ご容赦願いたい。
★濁音が使えないとはこんなに不便なものかと思った。
39頁
 ナ行とハ行の歌 
★自作の言葉集めで意味のつながらない部分が多数あるが、ご容赦願いたい。
★濁音が使えないとはこんなに不便なものかと思った。
40頁
 マ行とヤ行の歌 
★自作の言葉集めで意味のつながらない部分が多数あるが、ご容赦願いたい。
★濁音が使えないとはこんなに不便なものかと思った。
41頁
 ラ行とワ行の歌 
★自作の言葉集めで意味のつながらない部分が多数あるが、ご容赦願いたい。
★濁音が使えないとはこんなに不便なものかと思った。
42頁
 促音符(Aの点)、濁音符(Dの点)の区別  促音の言葉 
★点間確認のため、を前後に置く。
のすぐ後にくるAの点が促音符、少し間があいてくるDの点が濁音符。「すぐくる」「しばらくしてくる」の言葉を使い分けて、点間の空き具合を知らせる。
Dの点の場合、その後のがすぐにきていることも感じ取らせる。
★促音符の語例を前半に示し、後半には長音符と促音符の区別ができるように、前にある文字は同じものの言葉を示した。
★語例の中では、前の文字がいろいろなところに空白があるので、の字を前置した場合とちがって、とまどうこともある。特に後ろ半マスに点の少ない文字には注意させる。
43頁
 濁音の言葉1 
★ガ行、ザ行、ダ行、バ行の確認
★年齢の低い児童の場合、濁音は日常的に使っているものの、今まで文字との対応経験がなかったために、覚えた清音の字が濁るとどんな発音になるのかをはっきりと分かっていない場合もある。発音している言葉と濁音文字とを対応させてあげよう。
★語例の中で、前の文字が前半マスしかない場合には、予想以上にマス間が空く。その辺りを丁寧に説明して、その空き感覚に頼るよりも、しばらく空いた後にくる真ん中の点のすぐ後にくる文字が濁ることを理解させる。
44頁
 濁音の言葉2 
★たくさんの言葉を読んで、前の文字がいろいろでも「しばらく空いたあと」の点のすぐ後の言葉が濁ることを即座に読みとり、濁った発音ができるようにする。
★ここでの語例はDの点ばかりなので、上中下の区別を考える必要はなく、前後の空き感覚を身につけさせる。
45頁
 半濁音(Eの点)、ADEの点の位置の区別 
★半濁音(この言葉は知らなくてもよい)とはどういう発音をするものかを知り、日常的に使っている「パピプペポ」は、Eの点を前置したものであることを理解させる。
★A、D、Eの点の位置の区別を指が感じていることと言葉の説明と一致させる。また、指が上下しないことが大原則となるので、前後にを置いた。
★語例の中で、前の字のすぐ後に来たら促音、しばらくして来た点が真ん中か下かによって後ろの文字の発音の仕方が変わることを練習する。後ろにくる字が同じものを選んで並べた。
46頁
 苦手な文字(鏡文字)の練習 
★ここまでくると、清音がすらすらと出てこないと濁音や半濁音の区別がすぐにできないので、もう一度迷う字を練習する。
★手を止めないで、すぐに読み上げることも心がける。
47頁
 一つの点だけの区別 
★@ア、A促音、Bワ、D濁音、E半濁音の点の位置をしっかり読みとって言葉を言う練習。前にある文字が同じものを並べた。
48頁
 拗音(Cの点)、拗濁音(CDの点)、拗半濁音(CEの点) 
★拗音の一覧を提示。
清音にCの点を前置すると、どのように発音が変わるのかを理解させる。
★墨字を見たことがない児童には、この発音の変化を理解するのがなかなか難しい。
★拗濁音や拗半濁音も清音からの発音変化の練習を丁寧にする。
49頁
 濁音と拗音の区別 
★単音だけを提示して、すぐに発音できる練習。
上にある点か、真ん中の点かをすぐに読みとり、その後の文字の音を変化させる練習。特に拗音が出にくい。
50頁
 拗音を含む言葉 
★点の位置を確認しながら読む練習。ただし、語例の中には拗音しか載せていないので、濁音との区別をせずにすむ。すぐに拗音が出てくるかの確認練習。
51頁
 拗濁音、拗半濁音の確認 
★一覧を提示。点の位置を確認し、CDとCEの区別で後ろの文字をすぐに発音変化できるようにする。
★清音から拗音への発音変化が十分にできていても、そこからどう変化させて発音してよいのか迷うことが多い。
52頁
 拗音系の言葉と濁音 
★指は十分に点の位置を確認しているか、発音を変化させた言葉がすぐに出てくるかの最終確認。
★分かち書きのある言葉も語例に入れた。一マスあけ(言葉が続いている)と二マスあけ(違う言葉)の区別もできるようにさせたい。
★これで、全ての音の導入を終わる。長い時間をかけて点字学習を進め、集中力と根気強さで読めるようになったことを思いっきりほめてあげよう。
★これからは、文章に慣れさせ、文を読む楽しみや喜びを十分に味わってもらいたい。
53頁〜56頁
 数字、句点、読点、カギを使った文章   「ノンタン ぶらんこのせて」 
★この童話は、同じ言葉や文の繰り返しが多く、今まで単語をゆっくり確認しながら読んできたのと違い、指の動きをスムーズに速くさせ、行たどりや両手読みの初期段階の練習には適している。
★この童話には、数字が順に並んで出てくるので、数字の導入にもよい。また、文章形式なので、読点や句点、カギの存在やその後のマス空けの数を教えるが、この段階までくると、記号を説明してもすぐに理解できる。
★今まで1行あけで提示してきたが、文章になると行あけなしで読めるようにさせたい。ここでは文章が続いているところは行あけなしにした。
★行たどりや両手読みの手の動かし方は、音の導入の段階では速度が上がらず、なかなか定着しない。ある程度読めるようになってからの指導で十分だと思われる。しかし、指の傾きや他の3本指の置き方は初期の段階からしっかり身につけさせた方がよい。(26頁の解説参照)
★両手読みの方法
 行の前半は左手で読み進め、添えてある右手は行の誘導に使われる。行の3分の1ぐらいまでいったら読みは右手にバトンタッチさせ、左手は読んだ行(あるいは行間)を戻って次の行頭を探して待っている。右手が読み終わると同時に左手が読み始め、その間に右手が左手のところに戻り、ガイド誘導する。
 初期段階では、両手が別々の動きをすることが難しく、左手から右手に読みがバトンタッチされたところで、左手を行頭に動かすことに意識がとられ、右手の読みがストップしてしまう。また、右手が行末で終わってすぐに読み始めるべき左手の読みが遅いために、ほとんど行頭で右手がきてしまう。
 これら一連の両手読みの動作を、ゆっくりながら規則性を持たせた動きができるように指導することが大切である。
点字の書き指導について
 
 点字の書きを導入する際の道具は、読みと同じ点の配列になった点字タイプライターがよいと思います。中でもアメリカ製のパーキンスブレーラーが頑丈さ、点字の大きさや盛り上がり方、操作性の面において扱いやすいと思います。
 読みの場合には縦半マスの点や棒のイメージでとらえさせるのに対して、書きのときは、点の番号で覚えるとよいでしょう。最初は50音の各列で同じ点番号を使ってあることを理解させて、規則的に指を動かせるようにします。点番号で覚えることによって、新たな文字や符号を教えるときにも説明がしやすくなります。
 指の使い方は、左手人差し指から薬指にかけて@ABの点、右手人差し指から薬指にかけてCDEの点を配置し、キーから指を離さずに常に同じ指で打つようにします。中央のスペースキーはどの指でもいいですが、指を動かした後はまた定位置に戻しましょう。
 打ち方は、脇をしめてピアノを静かに弾くようにリズミカルに打ちます。同じ行の文字を打つからといって共通の点番号に指をおいたまま打つようなことは避けましょう。また、打たない指をわざわざ引っ込めるようにさせる必要はなく、宙に浮かせたまま打たせます。その方が次の点字を打つのが速くなります。
 書きの指導ではきっとすぐに50音を覚えて、書ける楽しみを味わえるようになるでしょう。
 それ以降の指導では、行末まで書き進んだときに行末を知らせるベルの音を頼りに、あと何マス書けるかの予想をつけて行替えのタイミングを考えたり、書き間違えたときに何マス戻ってメ打ちをして訂正するかなど、書き表すべき言葉が何マス使った点字なのかを考えさせる学習も必要になります。
 それらがある程度定着してきたら、文章を書く中で分かち書き(マスあけ)の感覚を十分に身につけさせ、点字表記のきまりを徐々に解説していきます。読み学習の中では、読むことに必死になり、マスあけがどのようになっているかまで気が回らないことが多いので、書き指導の中でマスあけ感覚を養うとよいでしょう。