点字導入の実践例 
小学部1年生児童の入学時から半年間の指導例

<点字の読みの指導>

NO 指導内容 留意点 月日 時数



 
@ABの点だけの字:
アイニワナ
・位置確認のための「メ」を前置
(NO.1とNO.2)
・指を上下する癖をつけない。
・指を持って指導
・勉強に向かう姿勢づくり
 
4/13木


 
1h


 







 
@AB+Cの点の文字:
ウエネオ
・長い棒と短い棒の違い
・文字導入の際には間隔をあけたものからだんだん縮めて最後に本来の字を示す。以後同様パターン
 
・集中力の持続が課題
・学校でやったことを家で復習
・文字を導入するときは、前半マスと後半マスを分けたものの構成で示し、その説明を十分にし、指で感じ取らせる。
6点の形では覚えさせない。
・指は縦半マスずつ触らせるように指を持って誘導する。
・指導者の手の添え方を親にも伝達し、学校と家でも同じ触り方をさせる。
4/14金






 
1h






 




 
@AB+Cの点の文字:
・ヌノの導入・位置確認のための「ニ」を前置
以後NO.33まで同様パターン
・ナ行の復習:
・縦の点構成を「長い棒」「上側の短い棒」「下側の短い棒」
「上だけ」「下だけ」「上と下」「真ん中」のような言葉で説明する。

 
4/17 月



 
1h



 


 
ア行、ナ行、ワの復習問題
・位置確認のための「ニ」のある例とない例
・同じ課題ばかりやっていると覚えてしまうので、多くの語の練習問題を作る。
・家でNO.1〜4まで復習
4/18火
4/20木
 
2h

 


 
ヤの導入
@BCからなる文字の復習
ナとヤ、ノとヤ、エとネの区別
・ナ:上と下が一緒に同時に手に当たる。
・ヤ:まず下の点がきて、その後に上の点がくる。「一緒に来る」or「一緒じゃない」
4/20木

 
2h

 



 
カの導入:@Eの点
カナヤの区別

 
・カ:最初に上がきて、次に下がくる。
・縦半マスずつの説明を徹底する。
・形で覚えないこと(指を止めて読んでしまう)
・指を持ってゆっくり横に動かしながら認知させる。
4/21金


 
2h


 

 
キの導入
キとノの区別
・キとノの区別も確認
・今までの文字でどんどん単語を読んでいく。
4/24月
 
2h
 

 
クの導入:
クヌの区別
・ク:上のウは同じで、下の点が後にくる。
・ヌ:上のウは同じで、下の点が先にくる。
4/25火
 
2h
 

 
ケ、コの導入
カ行の確認と単語
・学校では導入や説明で、家での復習がカギ
 
4/27木
 
3h
 
10
 
サシの導入
 
・サとノの区別
・鏡文字が増えてくるので徹底する。
4/28金
 
1h
 
NO.1〜7までの復習 ・ヌネノが覚え切れていない。 5/6 土 1h

 
NO.8,9の復習
 
・指を止めないで、一定の時間でゆっくりと動かしながら、点を感じている間に文字をすぐに言う練習。 5/8月
 
2h
 
10
 
サシの復習
 
・カ行も言えなかったり言えたりと完全ではないが、ほぼOKなので、サ行に入る。 5/11木
 
2h
 
11


 
スセの導入


 
・手はよく感じているが、それが何の文字だったのかをよく忘れる。自信がなさそうに読むので、大きな声を出させて印象づける。
・マスターした文字「21」
5/12金


 
2h


 
12



 
ソの導入、サ行終了
キノサ、ヤナカ、ヌク、ネス、エケ、コオの間違いそうな字の区別
 
・サ行まで終了したところで、間違えやすい字の区別。
・初めて40分間連続学習可能!
・指を点字の上で止めない。触り終えたらすぐに言うができてきた。
・突然の学習の飛躍感が感じられた。
5/15月



 
2h



 
13

 
タチの導入
タコ、チソの区別
 
・点字プリンタ資料を試みたが、マス間が狭くて単語になると読みにくいので、やめた。やはりパーキンスタイプライターがよい。 5/19金
5/20土
 
3h

 
14

 
ツテトの導入
ツケ、テセ、トシの区別
NO.15のタ行の復習
・家での復習が効果的で、学校では新しい文字の導入に専念できる。
 
5/22月

 
2h

 
15
16
ア行、カ行の復習用
サ行、タ行の復習用
・家庭学習用として作成
 
5/21日
(家で)
 
17
18




 
ハヒフの導入
ヘホの導入
こんがらがっている文字をアトランダムに示す。


 
・ハ行導入は鏡文字が出てこないために、すぐに理解できた。
・この頃になると、指はよく感じて字形はすぐに入るが、鏡文字など色々あってそれが何の文字か覚えていられない。
・タ行はまだ完全ではないが、復習ばかりしていても飽きるし、こんがらがっているものは時間をかけて整理する方がよい。
・新しい文字の導入に意欲を示し、何文字覚えたか数えて見通しが持ててきた。
5/23火





 
3h





 
19

20 
マミムメモの導入
マホ、ミモ、ムヘの区別
マ行復習(アトランダムに並べる)
・鏡文字を区別するNO.19はできるが、NO.20のマ行全体の復習になるとつかえる。
 
5/25木

 
2h

 
21

 
ユヨの導入
ヨキノの区別
NO.20の復習
・ユヨもよく覚えてヤ行完成。
・単語になると前の文字をたくさん忘れている。
 
5/26金

 
2h

 
22 今まで習った文字の復習 ・マ行全滅、エケホもダメ 5/28日

 
ハ行、マ行、ヤ行の復習
NO.17〜NO.22の復習 
・こんがらがっているのか、同じ文字が読めたり読めなかったり。集中力が切れて、すぐにいやになってしまう傾向にあり。 5/29月
 
2h
 
23
 
ラリルの導入
ラオ、ルエの区別
・ラ行は点が少ないせいか、すぐに覚えた。
・気持ち次第でクリアーできる部分も大きい。
6/1木
 
1h
 
24


 
レロの導入


 
・すぐに覚えた。
・小指付近を軽く触って横に動かすのを促している。一人で読ませる練習もするが、指が立ち気味になるのと爪付近でこすって探る。まだ一人では無理。
6/5月
6/21水

 
1h
1h

 
25 ヲンの導入 ・50音の導入終了 6/6火 2h
26 ア行〜カ行の言葉 ・復習用 エが出にくい    
27 ア行〜サ行の言葉 ・復習用(6/5)シケが出ない    
28  ア行〜タ行の言葉  ・復習用 トシが鏡文字、ツが出にくい  6/6火  
29 ア行〜ナ行の言葉 ・復習用 ネが出にくい    
30 ア行〜ハ行の言葉 ・復習用 6/8 木  
31 ア行〜マ行の言葉 ・復習用 マミモが出にくい 6/8 木  
32
 
ア行〜ラ行の言葉
 
・復習用 ルロが出にくい
 
6/9金
6/12月

 
33 ア行〜ヤ行・ワ行の言葉 ・復習用 6/12 月  
34
 
長音、上中下の区別
 
・上中下の区別をしっかりさせる。
<長音よりも50音が先。後に回す>
6/13火
 
2h
 
35

 
アイウエオの歌1

 
・教科書巻末の歌
・50音の復習
<同時並行でカードの読みもやる>
6/15木
6/16金
6/19月
1h
1h
1h
36 アイウエオの歌2自作 ・長音が少し入っている。<家での復習用> 6/20火 2h
37 ア行、カ行の歌自作 ・ア行カ行の言葉<家での復習用> 6/22木 1h
38 サ行、タ行の歌自作 ・サ行タ行の言葉<家での復習用> 6/23金 1h
39 ナ行、ハ行の歌自作 ・ナ行ハ行の言葉<家での復習用>    
40 マ行、ヤ行の歌自作 ・マ行ヤ行の言葉<家での復習用>    
41 ラ行、ワ行の歌自作 ・ラ行ワ行の言葉<家での復習用>    
42

 
促音・濁音
・点間確認のため「メ」を前置する
・促音:前の語のすぐ後にくる。
・濁音:前の語の後少しあいてからくる。
・促音の言葉
6/26月

 
1h

 
43



 
濁音の言葉1



 
・メの後に少し間があいて、真ん中の点
・濁音の構成はよくわかるが、清音が濁るとどういう発音になるのかがわかりにくい。
・清音の読みが不安定なので50音の復習がやはり必要。家でNO.38〜42の復習を徹底。特にタハマヤ行。
6/26月
6/27火


 
2h
2h


 
44
 
濁音の言葉2
 
・濁音ばかりなので、濁音だと信じて読むので
よく読める。
6/28水
 
1h
 
45

 
半濁音の導入
A促音、D濁音、E半濁音の点の位置の区別
・マット・マド、カダイ・カッターなど同じ字並びだが、AとDの点を区別して読む練習。
・まだ50音のマホケツヨがクリアーできず。
6/28水
6/30金
 
1h

 
46

 
苦手な文字(鏡文字)の練習

 
・鏡文字の徹底復習
・1文字ずつを止まらずにスラスラ読む。
・このあたりでやっと50音卒業の気配
6/29木
6/30金
 
2h
1h
 
47

 
一つの点だけの区別
@ア、A促音、Bワ、
D濁音、E半濁音の区別
・一つの点がどの位置にあるかを読みとる練習。
・指を上下させないようにガッチリ持って、一定速度で移動させながら点を感じる練習。
7/3月

 
2h

 
48


 
拗音


 
・Cの点の位置はほぼわかる。
・Cの点の後にくる文字から類推して拗音が言えるかどうかが大きな課題
・ハ行が難しい。CヒャCDビャCEピャ
7/4火


 
2h


 
49
 
濁音と拗音の区別
 
・同じ清音でもCとDの点の前置の違いで発音が違うことと、すぐにその音が出てくる練習 7/5水
 
1h
 
50
 
拗音を含む言葉
 
・点の位置を確認しながらいろいろな言葉を読む
・拗音をかなり正確に読めるかの確認練習
・注意を払って上か中かを意識できればOK
7/6木
 
2h
 
51 拗濁音、拗半濁音の確認 7/7金 2h
52
 
拗音系の言葉と濁音
 
・点の位置はわかるがすぐに音が出てくるか
・拗音が濁った音がすぐに出ない
7/10月
 
2h
 



 
物語を読む 
「ノンタンぶらんこのせて」
(行あけなしも少しずつ練習)
 
・「 」 、 。を読む。数字1〜10を読む。
・両手読みの練習。左右の読む量、バトンタッチの仕方
・繰り返し言葉が多いし、数字も1から順に入っているので、初期の導入にはとてもよい読み物。
7/11火


 
2h


 


 
物語「ライオンとネズミ」
(1行あけ2頁)
 
・学校で1回、家で1回の読み練習で十分。
・文章を覚えてしまっても意味がないので、新しい文をどんどん読ませる。

 
7/12水
7/14金
 
2h

 

 
物語「はらぺこあおむし」
 
7/14金
7/17月
1h
1h
 
 <夏休みの課題> 簡単な物語を数多く読む。日記や手紙を書く。
 
 <2学期の読み学習>
第1週 9/5(火)〜9/8(金)
 
「ありときりぎりす」「かえるとうし」「きつねのまけおしみ」
 算数の教科書、学級だより
 ★指導のポイント
・指がモジョモジョ動くのをやめさせる。
 指示語・・・・「横だけに動かす!」「力を入れない!そっとさわる!」
・両手読みの導入・・・・左右同時に動かしながら、前半は左手、後半は右手の分担で。
 手の動きに気をつけて読む
第2週 9/11(月)〜9/16(土)
 
「ありとはと」「正直なきこり」
 
第3週 9/18(月)、9/19(火)
 
 「きりんのくびはどうしてながいの」
 
第4,5週 9/19(火)〜9/29(金)
 
 読書感想文用「くまたくん:ぼく、およげるんだ」
   (行あけなしの10頁)
第6週 10/4(水)〜
 
 国語の教科書に入る「ぶらんこ」から
 
 

  <点字の書きの指導>

6/14 水 2h  交流がなくなった日から  ・ア行〜サ行の文字
6/20 火 1h ・タ行の文字
6/27 火 3h ・タ行ナ行の文字とア行〜ナ行までのいろいろな言葉
6/28 水 2h ・ハ行マ行の文字とマ行までのいろいろな言葉
7/4  火 1h ・ヤ行ラ行ワ行ンの文字。ヤユヨヲンは規則的ではないので難しい。
7/11 火 2h
 
・五十音の復習確認。単語をどんどん書く。一字一字を思い出すのに少し時間はかかるが
 <五十音完成!>
7/12 水 2h
 
・五十音の書き速度計測
・濁音、長音、促音、半濁音の言葉(NO.45)
7/14 金 1h


 
・日記形式の指導
・日付の書き方・・・・数字の書き方
・文章の書き方・・・・言葉のまとまり毎に1マスあけ、文の終わりには句点を、
 その後は二マスあけ。
7/17・18月・火  夏休みに向けて、五十音書き計測と日記の書き方の確認