日本点字事情 かわら版	横浜市立盲学校 点字研究部 文責　道村静江
１９９８年１０月２６日発行　ＮＯ.７
今回は紙面の都合上、前文なしで始めます。（次号に説明を載せます。） 　１４．「暫定修正案･･･記号等の概略」の提案 ＜日本点字委員会・点字科学記号専門委員会＞ 　１．暫定修正の範囲について 　小学校算数の分野における初等的な記号については、原則として変更を加えない。他の教科の関連表記についても同様である。したがって、近く改訂が予定されている中学校・高等学校の数学及び理科系・技術系等の各教科書の関連表記の範囲とし、大学での教材の表記は対象外とする。 　また、情報処理用点字体系についても、今回は変更が及ばないものとする。 　　例１：文部省著作算数点字教科書における、小数点、四則演算子、等号、 　　　　　小カッコ、単位などは、変更しない。 　　例２：日本語文中の情報処理用記号体系は従来通り、〜　(6･ﾘｻｶﾞﾘ、6･ﾛｻｶﾞﾘ)ではさむ。 　２．暫定修正案の概要 　(１)文字および字体 　　物理等においては、変数・定数が斜体で、物体名称等は正体（立体）で扱われており、区別を明確にする必要があったが、外字符だけでは不十分であったので、原則として正体（立体）には（５の点）を前置する。 　　例：コンデンサー　(56･5･6･Ｃ)の容量を　(56･6･Ｃ)　クーロンとする。 　　　　　　　　　　　（墨字では、前者が正体、後者が斜体） 　(２)数式指示符 　　現在、特に文中では「二マスあけ」だけで区別されているが、行末では判別できないなど、不明確であったので、これまでにもつけられていた、アルファベットで始まる数式と同様に、数式には数式指示符(56)を前置することを原則とする。ただし、数符および日本語(ﾚｻｶﾞﾘｶｯｺで挟まる)で始まる数式を除く。 　　　　例：ａの平方根を(56･ﾖ･ｱ)と書く。 　(３)図形記号における大文字符の使用法について 　　数式中の大文字の連続については、それぞれの大文字符を前置するのが原則であり、図形記号に用いられる大文字の連続についても、基本的な考え方は同様であるが、「ひとまとまりに表現される図形記号の大文字群については、二重大文字符を用いることができる」とした。 　　　　例：線分　　　(56･6･6･AB) 　　　　　　直方体　　(56･6･6･ABCD･6･6･EFGH) 　(４)スラッシュの記号 　　　数式中で用いられるスラッシュを表す記号が必要となる場合は、 　　　(456･ﾔ)を用いることとした。 　(５)分数の表記 　　分数については、その範囲が分数線が出てくるまで分数とはわからないこと、および分母の長い場合は分数の終わりも不明確であり、早期解決が望まれていた。そこで、これまでの点訳上必要なカッコを分子や分母につける方法から、分数の初めと終わりを記号で示す表記に変更する。 　　分数は前後を〜 (ﾐ〜ﾓ)で挟み、分数線は (ﾔ)とする。 　　（分子・分母を示すカッコはつけない。） 　　ただし、分母・分子ともに数字だけで構成されている分数などの表記については、今後検討する。 　　これに伴い、これまで別々の記号が与えられていた角カッコと亀甲カッコは数式上区別を必要としないので、〜 (6ﾐ〜ﾓﾜ)に統一した。 　(６)単位の表記 　　墨字では単位の部分を挟むのに、小カッコ、亀甲カッコ、角カッコ等、様々なカッコが用いられており、点字ではこれまで小カッコを用いてきたが、数式中の日本語部分を挟むカッコと同形であることなど、曖昧さを含んでいた。そこで、挟む必要のある単位については第２カッコ〜　(5･ﾚｻｶﾞﾘ　ﾚｻｶﾞﾘ･2)で挟むこととし、その中は数式の続きとして　(56)　および正体（立体）の　(5の点)は付けないこととした。 　(７)カッコや囲み記号 　　現在の中カッコは、数式中の日本語カッコと同一であること、および閉じと開きの区別が付かないことから、新たに中カッコとして、〜　(6･ｷ〜ﾖ･ﾜ)を使用することとした。 　　　数式等におけるカッコや囲み記号をまとめると次のようになる。 　　　　　分数囲み記号 　　　　　〜　 　 　　　(ﾐ〜ﾓ) 　　　　　小カッコ　　　　　　　　 〜　　 　　　(ﾘｻｶﾞﾘ〜ﾛｻｶﾞﾘ) 　　　　　中カッコ　 　　　　　　　〜 　　(6･ｷ〜ﾖ･ﾜ) 　　　　　角カッコ　　　　　　　　　〜　 　(6･ﾐ〜ﾓ･ﾜ) 　　　　　日本語カッコ　 　　　　　〜　　　　　(ﾚｻｶﾞﾘ〜ﾚｻｶﾞﾘ) 　　　　　単位カッコ 　　　　　　　〜　　 (5･ﾚｻｶﾞﾘ〜ﾚｻｶﾞﾘ･2) 　　なお、化学系においては従来どおり、小カッコは〜(ｷ〜ﾖ)、角カッコは〜(ﾍ〜ﾑ)を 使用する。 　　墨字で亀甲カッコが使用されている場合は、これまでと同様、数式上の角カッコか、単位を表しているかなど、意味を判断して使い分ける。 　如何でしたか？改訂の意図はつかめましたでしょうか？これだけの文面からは細かい部分については疑問点が残りますが、いずれ具体的な用例が示されることと思います。