日本点字事情
かわら版

横浜市立盲学校
点字研究部

文責 道村静江
2006年3月20日発行 NO.65
   いよいよ自動点訳ソフトIBUKI-TENの実行です!

   ダウンロードはOKですね。二つのアイコンのうちIbukiTenの方です。

4.(2)自動点訳のみを行う「IbukiTen」
 簡単な窓が開きます。これは、データを点訳だけして保存する方法です。
 @「入力ファイル」の「…」をクリックして、自分のテキストデータの入っている場所を探しに行き、選択します。
 A「出力コード」で、「BASEコード」を選びますが、その中に「ページ有り」と「ページ無し」があります。「ページ有り」を選ぶとよいでしょう。「ページ無し」を選ぶと、ページ行にも文章が入り込んで編集が難しいです。
 B「点字数」とは1行の文字数のことです。「32」のそのままでOKです。
「行数」の設定が大事です。「22」は片面書きのこと。「18」は両面書きのこと。出力にはその二つの数字しか今のところあり得ません。
 C「点訳方式」では、英語の点訳を1級にするか、2級にするかということです。1級とは、ベタ書きのことです。2級とは略字縮字の入った英語圏に通用する表記レベルで、英語の本は全てこの方式。もう少し言うならば、中学校では段階を追って指導し、3年生で「2級英語点字」を完全マスターし、高校では全て2級英語点字を使用するというのが常道ですが、最近の生徒の能力に合わせて、教科書でも1級英語点字と2級英語点字を併記しているようです。
 D「出力ファイル」は、点訳後のファイルをどのようにするかの指定です。
Win-bes形式(.bes)はありませんので、「ベース(.bse)」を選びましょう。なぜこの形式かというのは、かわら版61号を参照してください。また、「…」をクリックして、どこに保存するのかも指定してください。もちろんここでファイル名を変更して保存できます。
 E「点訳実行」をクリックすると、一瞬で点訳してくれます。そして「終了」

5.点訳されたものを開いてみましょう。
 @「Win-bes」または「点字編集システム3」を起動して、保存したファイルを呼びに行きます。ただし、その前に自分が片面書きか、両面書きかをはっきりさせ、「設定」→「プリンタ設定」で片面か両面かを設定しておくことが大事。さて、ファイルを呼びに行くには、保存はBASE形式ですから「ファイルの種類」→「BSEファイル(BASEフォーマット*.BSE)」を選び、ファイルを開きます。
 A自動点訳のみを行う「IbukiTen」で、行数の設定をして点訳をした場合は、うまくいきますが、自動点訳後の編集機能がある「IbukiTen Edit」または「IbukiTen Pro」を使って点訳した場合は、ページ設定は聞いてきませんので、点訳後のファイルは片面書きになっています。注意してください。
 B問題のページ番号の付き方は、片面書きを選んだ場合は、そのまま順調に付くはずですが、両面書きを選んだ場合は、自分の環境に合わせて選択するので、ページ番号は付きません。校正して全体が完成した後でもいいですから「ページ」→「ページ番号付加」を使って、再度付けるのを忘れないようにしましょう。

6.自動点訳が間違える「傾向と対策」
 @熟語の読み
 おもしろい間違え方をしてくれます。へえ、こんな読み方もあるんだと笑えます。そして、同じ言葉はいつも同じように間違えます。ですから、「編集」→「置換」を使うと便利です。この「置換」の機能は、読み方の間違いを修正するだけでなく、マスあけもセットで訂正できますので、自動点訳が間違えているマスあけも一括で直せます。「逐次置換」を選択してあれば、一つ一つ聞いてくるので、確認しながら修正できます。
 A記号の変換に注意!
 囲み記号の第1カギや第1カッコは、ほとんど間違えずに点訳してくれます。しかし、墨字に使ってあるいろいろな記号は不正確ですから、記号・符号の使い方をよく知って修正する必要があります。特に、二重カギや二重カッコなどの記号はそのまま点訳されますが、墨字で強調の意味で使っている人は、使い方の意味が違います。山形カッコを使ってる時は、第2カギなどに変換してくれて意味も合っている時もあります。いずれにしても点字の記号の使い方の意味を十分に検討してください。
 囲み記号以外の墨字のいろいろな記号、例えばコロン、アスタリスク、行頭の黒ポチ、米印など、個人の趣味で使ってあるような記号の変換には要注意です!
ほとんど正確には変換されないと思っていた方がいいです。へえ、これでいいんだと思ったら大間違い。信じない方がいいです。便利帳の記号の使い方をよく調べてください。
 つまりは、箇条書きや記号類の多い墨字文書を自動点訳にかけるのは、リスクが多いです。数学・理科などの特殊な書き方は絶対にうまくいきません。
 B番号の付け方を確認してください。
 墨字文書でいろいろな番号を使って書いても、点字の場合、序列があることを忘れないでください。裸数字、ピリオド付き数字、カッコ付き数字の順です。ですから、墨字文書を作る時にそれを意識して付けるようにするとよいでしょう。
(1)と@は 第1カッコの同じ記号になります。「IbukiTen Pro」の場合、@(丸囲み数字)は点訳してくれず、空白マスになって番号が欠落してしまいます。
 Cやっかいなのは、レイアウト!
 とにかく、行頭何マスあければいいのかは、自分で判断してください。大きなタイトルの2行目は、自動点訳では行頭に続いてしまっていますが、1行目よりさらに2マス落とすというのを忘れないでください。
 センタリング、右寄せなどとてもいい加減にマスが空きます。また、前号に書いた改行マークなどテキスト形式にした段階で修正しておくと、校正が楽です。

 以上、自動点訳についてたくさん書きましたが、要は「ものは使いよう!」修正できる力が必要ですし、必ず確認し、手を加えることをしてください。それをしないで自動点訳にかけただけで出力したら、大恥をかきます!

 これで、今年度のかわら版を終わりにします。点字研修会開催に沿って、内容を組み立て、解説してきました。1年間で一通りのことを解説したつもりです。
この流れで点訳技術をものにしてくれば、きっと大丈夫でしょう。自信を持って点訳できることを願っています。