日本点字事情
かわら版

横浜市立盲学校
点字研究部

文責 道村静江

2006年2月13日発行 NO.63

    WinBES (.bes)を使いこなすテクニック その2

 6.ファイル管理
 @ファイル名を付けて保存
 ワープロではないので、ファイル名を付ける時には半角英数になっています。漢字の全角文字で入力したい時には、キーボードの「漢字」キーを押してから入力します。拡張子の.BESが自動的に付きます。
 Aファイルを開く
 ファイルを開く前に是非確認してほしいことがあります。WinBESが今、何の設定で起動しているかがとても大事です。つまり、片面書き22行設定か、両面書き18行設定かを確認する必要があります。「設定」→「プリンター設定」で確認しましょう。自分の開きたいファイルの環境にしておくことが必要です。
 もし、これをしないで、違う行設定の環境でファイルを開こうとすると、「ページのサイズが違います。どちらの設定で編集しますか?」と確認のメッセージが出ます。ここで「環境」を選べば、前に作ったファイルの行数が、今の設定に合わせて表示されます(つまり、今の環境に合わせて、行数を変えて読み込んでくれるということです)。この時にはページ番号が付いていない状態になりますので、再度付ける必要があります。この作業が必要な時は、自分が意図的に片面書きを両面書きに変えようとする時、あるいはその逆のどちらかです。
 もし、前に作ったファイルの行数を変更したくなくて、「ファイル」を選んでしまった場合には、印刷の時に不具合が生じる可能性があります。つまり、画面上は自分の思うファイルの行数でも、プリンター設定が変更されていないので、印刷の時におかしなことになります。ですから、設定が違ってファイルを優先したい時には、ファイルを開くのをキャンセルしてもう一度プリンター設定を確認し、自分のファイルサイズに合わせてから開くようにしましょう。WinBESは前の人が使った設定のまま起動していますので、自分の設定に合わせてから開く方が間違いがないので、その確認の癖を付けましょう。
 Bファイルの結合・分割
 二つのファイルを合体したい時や分割したい時は、「ファイル」→「文書結合」「文書分割」を選びます。カーソル位置の前か後ろに他の文書を読み込んで合体させたり、カーソル位置のページで文書を分割して二つのファイルにしたりします。その作業はページ単位で行われます。使う人はまれかと思いますが、たくさんのファイルを操作する時や複数のファイルを印刷したりする時に便利です。ページ番号を付け替えることを忘れないでおきましょう。

 7.点字印刷(トラブル続出!)
 最大の難関の点字印刷です。みなさん苦労しています。片面印刷の時は意外と楽で、つい片面だけに走ってしまいますが、紙面の節約を考えたり、ページ数の多いものはかさばります。「両面印刷?やり方知らない!」「なんだか面倒くさそう・・・」なんて言わないで、両面印刷をマスターしましょう。
 @印刷画面で、開始ページは通常は「1」でいいと思いますが、最終ページが「0」になっているのは変だと思うでしょうが、「0」の意味は、今あるページの最後までという意味なので、あまり気にしないでいいです。あるページだけ印刷したい時に書き換えてください。
 A「1ページ分のはずが、2ページに渡って出てきてしまう!」と真っ青になっている人がいます。それは、片面書き22行設定のものを両面書き18行設定で印刷しているからです。その逆もあります。プリンター設定を確認しましょう。
 B少ないページ数のファイルならたぶんうまく印刷されていると思いますが、ページ数の多いファイルや部数が極端に多くなると、データがうまくプリンターに送られないことがあり、途中でデータが飛んでしまうことがあります。片面印刷だったらページ番号が付いているので確認もしやすいですが、両面印刷では、裏ページの番号がないので、つい見落としがちです。表ページと裏ページの文章がちゃんとつながっているか確認することも必要です。

 8.最大の難関 両面印刷
 @ファイルを18行で作る。(文書作成時の設定は、「1.」に書いた通り)
 A起動したWinBESの「プリンター設定」を「両面」にしておく。
 B「点字印刷」を選ぶと、「奇数ページですか?偶数ページですか?」と聞いてきますので、先ずは「奇数ページ」を選択しましょう。すると、1,3,5・・・と奇数ページだけ先に印刷されます。
 Cここが重要!奇数ページだけの印刷が終わったら、点字プリンターの「FF」を押して、1枚余分に紙送りをしてから切り取ります。なぜこの作業が必要なのかというと、裏返して偶数ページを印刷する時に、紙押さえの部分に紙が無くなると、それ以上紙送りをしてくれなくて、最終ページの紙送りが途中で止まってしまい、最後の数行が印刷されません。たまたまファイルの最終ページが奇数ページで終わっていたり、偶数ページであっても 上半分で終わっている時には大丈夫なのですが、下の方まで詰まっていると悲惨なことになります。だから、空白ページを1枚くっつけて紙を切り取るのです。その時に「FF」を押すとちょうど1枚分だけ送られるので、それをしてください。それをせずに手動で紙を動かして切ってしまうと、次の印刷がおかしな所から始まり、ますます悲惨なことになります。時々、前の人の印刷が終わっていて親切心から紙を切り取ってあげることがありますが、前の人が片面印刷をしていたのか、両面印刷をしていたのかを確認し(行の空き具合でわかります)、両面印刷だったら1枚余分に付けて切り取ってあげるのが本当の親切です。それをせずに切り取ってしまうと、裏を印刷しようとした時に、人知れず泣かなければなりません。そんな時私は、セロテープで1枚紙をくっつけて印刷します(セロテープを貼る位置にも要注意)。
 D偶数ページの印刷は、紙の束をひっくり返してセットします。どの方向にひっくり返すのかは頭を使ってください。紙をひっくり返すとミシン目が左側にきます。このセットする時に紙をはずしたり、入れたりするのですが、打つ部分のバーから5ミリほど用紙を出してセットします。この「5ミリ」ほどの長さをインプットしておいてください。
 また、偶数ページはページ番号が印刷されません(データにはちゃんとページ番号があります)。点字本の偶数ページはページ番号が無記入なのです。知っていましたか?
 E紙をセットする時の要注意点!自分が事前に「FF」を押して紙をはずしたのなら問題はないのですが、前の人がはさまないでそのままだったり、用紙切れで紙をセットする時には、必ず「FF」を1回押して1ページ分空回りさせてから紙をセットしてください。特に注意してほしいのは、用紙切れで紙送りを最後までしないままに止まっている時は、必ず「FF」を押す!とにかく紙を入れ替える時は「FF」を押す癖を付けておきましょう!紙がはさまっていると思って信用して印刷した次の人がとんでもないことになって、大きな迷惑をかけてしまいます。1ページ目だけはまともに印刷されますが、2ページ目以降は大きくずれて印刷されて真っ青になっているのです。

 一気に3号分も出してしまいました。読むのが大変だったと思います。すみません。でも、こんなに便利な点訳ソフトを上手に使ってほしいし、印刷も苦労なくしてほしいと思ったので、みなさんが使う時の手助けになるような機能や注意点を十分に書いたつもりです。使う時にもう一度読み返して参考にしてください。