日本点字事情
かわら版

横浜市立盲学校
点字研究部

文責 道村静江

2006年1月16日発行 NO.59

 明けましておめでとうございます。みなさんお元気で新年をお迎えでしょうか。
たくさんの年賀状が届き、一年に一度のなつかしい交流に、若い頃の友を思い、今の姿を想像したり、実物の写真を見て笑ってしまったり。画像付き、色ペンの手書き、もしかしてプリントゴッコ?と思わせるような様々なものがあり、その人のこだわりも見え隠れして楽しいひとときでした。その中に点字入りの年賀状もいくつかもらいましたが、点字だけであのスペースに思いを載せるのは難しいですね。点字使用の方はこの賀状交換の風習をどのように位置づけているのかなあと思いました。でも、出す私たちはご家族宛もあるでしょうが、本人に点字でメッセージを書いてあげたいですね。
 さて、学校も始まりました。冬休み明けはあわただしくあっという間に過ぎていく時期です。このかわら版も4月に再開してから、点字研修会に合わせて回を重ねてきました。3月までには自動点訳まで解説して一年間を締めくくりたいと計画を練っています。
 今回は、入試の時期とも重なっているので、試験問題の解説をします。校内で使いそうなエキスだけを抽出して解説しますが、本番の入試点訳に際しては間違いのないように、細心の注意を払ってください。『点訳便利帳』にも章を設けて解説してありますし、黄色い本の『試験問題の点字表記』も参考にしましょう。

試験問題の点字表記 その1
<第6章 その2 試験問題の書き方 p.81〜88> 
  <作成者側の心構え>
1.墨字問題作成時に点字化することを意識する。
 @番号の付け方、記号・符号の付け方に留意する。よく似た番号の種類は避け、区別しやすいものにする。記号には使い方の意味があるので、自分勝手に使わない。特殊な記号もできるだけ避ける。
 大問は裸数字、小問や設問は1.(1)、選択肢はア.(ア)など、はっきりとした序列を付け、区別し易いようにする。         <p.81 1.>
 A指示文を明確に。墨字と点字では当然のことながら指示の仕方が異なる場合があります。点字が不利にならないような配慮と説明が必要です。
 B盲学校内では、墨字と点字の時間差は設けていませんし、びっくりするような長文や大量の問題は出題されないと思いますが、設問で問題文を参照するような場合は、早く箇所を見つけられるような配慮と点訳の方法が必要です。
 C図などが挿入される問題では、図の読み取りを速くわかりやすいように工夫しなければいけません。

2.点訳時に配慮すること
 @紙面の節約よりも、該当する箇所の探しやすさを優先させる。特に、問題番号や設問の箇所、行頭のマスあけに留意する。空白行を適宜入れたり、大問毎に頁を変えるなどの配慮が必要です。
 A記号の使い方は、よく慣れた一般的なものを使った方がいいですが、間違った使い方をしてはいけないし、試験問題によく使われる記号を選んで使用しましょう。また、生徒にも日頃から記号の使われ方を指導しておくことが必要です。
 特に、空欄記号は1種類の場合はを使い、2種類の場合はを使い分けます。墨字で( )が使ってあっても、の空欄記号を使うようにし、その前に付ける記号で区別を付けるとよい。その区別がなくて他の空欄記号が必要な時は、を用います。その場合、の空欄記号に番号・記号を付ける時には、その記号の前にマスあけをしないで持ち出し、ピリオドやカッコを必ず付けます。に番号・記号を付ける時には、その中に書くことができますが、その後に一マスあけて空欄であることを示すAの点三つをのように書きます。これを省略すると、単なる番号・記号と誤読されるおそれがあります。      <p.82 2.(2)>
 下線には、第3指示符を使います(英語の場合は、変形第3指示符を必ず使う)。この指示符に番号・記号を付ける時も空欄記号の方法と同じです。                <p.81 2.(1)>
 B設問の記号の指示の出し方に、墨字と点字では書き方に違いがあります。何でも墨字通りに点訳すればいいというものではないので、気をつけましょう。
                          <p.87 4.>
 C選択肢は、探しやすいようにレイアウトを工夫します。1行1選択肢を原則とし、行頭2マスあけで並べます。問題文が長い場合や行頭2マスあけの設問などが多い場合には、選択肢の箇所をわかりやすくするために行頭4マスあけも有効です。選択肢が長く2行に渡る時は、2行目の書き出し位置に要注意。また、選択肢群が2頁に渡らないようなレイアウトの配慮も必要です。<p.84 3.>

 <受験者に熟知させておくべきこと>
1.問題文のレイアウト、指示された箇所の探し方、用いられている記号の使われ方の意味などを理解させ、日頃から使い慣れさせておくことが必要です。
2.解答の仕方を熟知させておく。            <p.88 5.>
 @教科名、受験番号、氏名を忘れずに書く癖を付けておきましょう。
 A問題番号・設問番号に付加された記号もセットで、必ず一致させて書きます。
 B解答は1行に1答ずつ書きます。また、解答が番号で答えるものも多く、まぎらわしく誤解される恐れもあるので、問題番号と解答の間に棒線を引くのも有効です。いろいろな書き方がありますが、見やすく誤解のない書き方を。
 C解答作成中に誤りに気づいた時は、マスあけの部分までさかのぼって語句のまとまり全部をの字2マス以上で書き、その後ろを1マスあけて書き直します。また、の字で消さなくても、誤答の後に「テイセイ」と書いて、正答を書いてもよい。最後に解答を見直して間違いに気づいた時は、新たな用紙に「テイセイ」と書き、解答番号を書き出し、正答を書きます。