日本点字事情
かわら版
横浜市立盲学校

点字研究部

文責 道村静江
2005年10月13日発行 NO.56
                 【記号・符号の使い方 その3】

5.その他の記号・符号               
 (4)星印類  <p63 (4)>
   第1星印   第2星印     第3星印
 ・墨字では注意を引く箇所に、★☆◎◇◆※*などのいろいろな記号が使われているが、それらにはすべて星印を当てる。特に、*(アステリスク)は情報関係等の記号に用いられる付加記号なので、墨字で見出しに使ってあっても、アステリスクの点字記号は使わない。
 ・種類分けをする必要があるときは、第1〜第3星印を使い分ける。
 ・第1星印と第2星印は、行頭のみに使われるので、前二マスあけがセットとなる。第3星印は、文中で強調したい箇所の前に用いることができる星印の後は一マスあける

 (5)文中注記符 <p63 (5)>
       または 数字  文中注記符
 ・欄外などの注と対照させるときに、その語句の直後にこの記号を使う。
 ・墨字文では、*の記号がついている場合が多いが、間違っても点字でのアステリスクを用いてはならない。
 ・注に番号がつく場合には、この文中注記符の点字記号を分割して、その間に番号をはさむ。

 (6)伏せ字  <p63 (7)>
     伏せ字の○   伏せ字の△    伏せ字の□
      伏せ字の×、数字の伏せ字    その他の伏せ字
 ・Dの点を前置した「マミムメモ」を当てている。それぞれの形に何となく対応しているので覚えやすい。
 ・語全体を伏せ字にしている場合は、分かち書きの規則に則ればよいが、語の一部を伏せ字にしてある場合は、前後のつながりを第1つなぎ符を挿入するなど、使い方には十分注意する。
 ・○印×印には、伏せ字は使わない。

6.一応存在を知っておく必要のある記号・符号
 
<p63、p65、p5>
 @詩行符類     詩行符 **   二重詩行符 ** 
 Aパーセント %  (アルファベットのpと覚えれば分かりやすい)
 Bアンドマーク & 
 Cナンバーマーク #
 Dアステリスク * 
 E小文字符     
 ・@詩を書く時は、ぜひこの符号があることを知り、有効に使ってください。
 ・A%は、日常的によく使われるので、アルファベットのpと覚えてください。
 ・B〜Dは、ほとんど使わない記号で、同じような記号があったからと安易に使わず、十分にその使い方に気をつけてください。
 ・E小文字符は、小文字の「ぁぃぅぇぉゃゅょゎ」を特別に書き表さなければならない時にだけ使用する。「っ」は促音符を使う。

5.記号・符号の使用のときの優先順位
 表記符号が二つ以上重なる場合、それぞれの符号が持つマスあけの規則によるとどうしても食い違いが生じることがあります。そこで以下のようなマスあけに関する優先順位が定められています。この順位に照らし合わせましょう。ちょっと難しいですが、★印だけは覚えておくと便利です。詳しくは日本点字表記法 第4章 第5節 p71〜74に載っています。(便利帳ではp66で簡単にしか扱っていません。)
 第1順位
  ★(1)句読符の前は続ける。
  ★(2)囲み符号の内側は続ける。(段落挿入符はマスあけも含めての符号と考える。)
  ★(3)波線は前後を続ける。
 第2順位
   (1)句読符の後ろは必要なマスあけをする。(文末は二マス、文中は一マス)
 第3順位
  ★(1)棒線・点線・矢印の前後は一マスあけ。
 第4順位
   (1)囲みの符号の外側は、他の記号や分かち書きの規則に従う。

 また、表記符号が重なって、別の表記符号と誤読されないように何らかの配慮をする必要があります。ちょっと難しいですが、記号や符号が重なったときは、記号・符号の一覧表の第一・第二・第三の種類までよく照らし合わせて確認しましょう。読点とカギやカッコ類が重なったときは、別の符号になってしまう場合が多いので、読点を省略します。囲みの符号で囲まれた語句が続く場合は、閉じと開きの間を一マスあけます。まずは符号が重なったときは、この優先順位を確認しましょう。また、記号の種類を知っていることで、他の記号に誤読されないかの判断も付くので、種類を覚えましょう。

 3号に渡り、一気に解説しましたが、いかがでしたか?
 よく使う記号、見たことない記号、使い方が難しそうな記号など、いろいろあったと思いますが、よく使う記号は少ないですし、知っておくと便利な記号もあります。記号が上手に使えるようになると、一気に上達したような気持ちになります。どうか使いこなしてください。
 そして、注意していただきたいことは、一覧表だけ見て記号を選ぶのではなく、その記号の使う意味や使い方を確認してください。また、使えるようになったからといって、多種多様な記号を乱用してもいけません。記号は、点字を読み進めていく中でふっと立ち止まってしまう箇所です。その流れをできるだけ止めないで、無理なく読み進むことができ、そして、記号によって種類分けや気を配る場所を教えてあげることができるよう、配慮しながら使い分けていきましょう。
 記号を語るのに一部だけを後回しにはできなかったので、3号分を一度に発行してしまいました。読むのが大変だったでしょう。ご苦労様でした。