日本点字事情 かわら版 |
横浜市立盲学校 点字研究部 文責 道村静江 |
2005年10月12日発行 NO.55 | |
【記号・符号の使い方 その2】 3.囲みの符号 (3)指示符類 <p59 (3)> 〜 第1指示符 〜 第2指示符 〜 第3指示符 ・強調や語句の指定に使う。 ・アンダーライン、傍点、斜体やゴシック体など、強調や指定すべき箇所を正確に点訳しなければならない時に使う。原本が様々な強調文字や飾りを使っている場合、全てに指示符類を使用してしまうと、逆に読みにくい。 ・主に短い第1指示符を使い、その他の種類が必要な時に第2指示符を使う。 ・試験問題などの下線には、第3指示符を使うことが多い。 (4)点訳者挿入符 <p59 (4)> 〜 点訳者挿入符 ・同音異義語や難しい漢語など、カナ点字で表してしまうと意味がとれにくい場合などには、点訳者挿入符を使ってその語句の説明をすると親切である。 ・図や表はなかなか墨字通りには書き表せないので、特別な形で書き表すことも多い。その説明や、図表の読みとり方を説明するときに使う。 ・使い方はカッコ類と同じである。 (5)段落挿入符 <p60 (5)> 〜 第1段落挿入符 〜 第2段落挿入符 ・使う場面は少ないが、第一段落挿入符の形は点訳者挿入符の形と同じである が、この符号の内側は一マス空いている。マスあけも含めて三マスセットの符号として覚える。(他の囲み符号の内側はすべて続けている。) ・段落の切り替えで使われる記号なので、前が行頭二マスあく形になる。 4.線類 (1)棒線・点線・矢印 <p60 3.(1)> 棒線(−) 点線(・・・) 右向き矢印(→) 左向き矢印(←) 両向き矢印(⇔) ・必要に応じて使うが、前後は必ず一マスあけである。しかし、この記号より優先順位の高い句読符が後に続く場合は、棒線・点線に続けて句読符を書く。 ・棒線・点線は、長さを増すことはできるが減らせない。 ・矢印は、長さが増減できる。 ・棒線は対等な関係を表したりするときにも使う。 ・点線は感情の省略によく用いられるが、語頭や語中に使うときには、点線の後ろはマスあけしなくてもよい(□・・・的、)。ただし、前は必ずマスあけをする。マスあけをしないと、「っっっ」になってしまう。 (2)波線 ** 波線(〜) <p61 (3)> ・数量や時間・場所などの範囲を表す時に使い、前後のマスあけはしない。 ・墨字で波線が書いてあっても、範囲を表しているもの以外は他の符号に変える。その逆の、墨字の記号がいろいろであっても、範囲を示しているときには波線に変える。 ・前後にマスあけがないため、長くなり行末に入りきらない場合がある。その時は、波線の後ろで行移しをしてもよい。 5.その他の記号・符号 (1)つなぎ符類 <p61 4.> ** 第1つなぎ符 ** 第2つなぎ符 ・1語中で誤読をさけるために、第1つなぎ符が使われる。 (数字とア行・ラ行の間、アルファベットとカナの間など) 例:数字でよく登場するのが、_円、_列、_位。気をつけて。 例:「ADL_研」「ADL_室」「ADL_的」など一語になっている時 はアルファベットとカナの間に入れ、「ADL□の」「ADL□指導」 のように助詞が続いたり、複合語のときは一マスあける。 ・動植物などの長い複合語などの切れ目に、必要のあるときは第1つなぎ符を、外来語の複合語などで、必要のあるときは第2つなぎ符を用いる。 例:アオバアリガタハネカクシ オーストリアハンガリー帝国(オーストリア=ハンガリー帝国) ・第1つなぎ符は、第1カギと同じ形で、誤読を避けるために、第1カギの中で使う場合は、行末につなぎ符を置いて行移しをしてはいけない。 (2)空欄記号 空欄記号 <p62 (2)> ・試験問題などでよく使われる。 ・空欄に番号や記号をつける場合は、記号を分割してその間に書かないで、前に持ち出して書く。その時には数字や記号が裸記号であっても誤読を避けるために、カッコやピリオドをつけて書く。カッコやピリオドと空欄記号の間はマスあけをしない。 (3)小見出し符類 <p62 (3)> ** 第1小見出し符 ** 第2小見出し符 ・見出し番号や記号がなく、小タイトルの後に文が続いている場合などに使えるとても便利な記号。 ・箇条書きなどで、番号や記号がついていない項目の後にもよく利用できる。 ・項目で2段階の順位がある場合は、第1と第2小見出し符で使い分ける。 小見出し符は必ず行頭で使うので、前二マスあけがセットになる。 ・小見出し符の後は、必ず1マスあける。 ・見出し的に使ってある墨字の:(コロン)や;(セミコロン)には小見出し符を使い、英文記号のコロンを当ててはいけない。 |