日本点字事情
かわら版
横浜市立盲学校

点字研究部

文責 道村静江
2005年10月11日発行 NO.54
 さあ、後期の始まりです。この半年間、主に書き表し方や分かち書きについて解説してきました。自信がつきましたか?今年は、職員室でパーキンスの音がよく聞かれ、机上に置いて点字を覚えようとする先生方の意欲ある姿が見られ、本当にうれしく思っています。コツコツと練習を重ね、書き慣れていけば、点字のきまりの疑問なども湧き、それを分かるようになりたいと欲が出、徐々に実力が付いてきます。そんな何人かの先生方の成長ぶりを目の当たりにして、やはり、「継続は力なり!」だなあと痛感しています。そして、このかわら版発行にも、点字研修会の開催にも、その力になりたいと熱が入ります。
 保護者の「点字勉強会」もとても熱心で、実力をつけてきています。
 さて、後期は気持ちを新たにバージョンアップします。文章は何とか点訳できても、記号・符号の使い方やレイアウトについて、まだまだ迷うところがある先生方も多いでしょう。ぜひ、この機会にその使い方・書き方に熟知してください。
  
    第5回 第6回 点字研修会 【記号・符号の使い方 その1】
         《記号は、前後のマスあけとセットで覚えましょう!》
1.句点・疑問
符・感嘆符 <p55 第5章 1.(1)(2)>
    **  句点(。)   **  疑問符(?) 
    
**  感嘆符(!) 
 ・これらの記号は、必ず前の語に続ける。後ろは、通常の文では二マスあけ。
 ・見出し番号などの後のピリオド、文中の感嘆符・疑問符の後は一マスあけ

2.読点・中点の使い方 <p56〜57 (3)(4)>
     **  読点(、)    ** 中 点(・) 
 ・二つを同時に使うときは、読点は中点よりもやや大きな区切りで使う。
 ・重ね数字では読点は使わず、略称の中での中点も使わない
 ・年月日の区切りに使ってある読点や中点、ピリオドではその記号を使わない
 (便利帳の各項目の【注意】をよく理解して、間違った使い方をしないこと)
 ・中点は、墨字文書に非常に多く、多様な使い方がされている。それをそのまま点訳せず、文意から推測できる場合は、省略したり、一マスあけに変える。並列関係の時は二マスあけに変えるなど、必要最小限の使用にとどめる
 ・墨字で見出し的に使ってある中点(黒丸)は、行頭二マスあけに変える
 <二マスあけに変える時>
 語の区切りに読点を使ってある場合は、そのまま使ってよい。
 内部にマスあけを含む複合語が並列関係で並んでいる時には、その区切りには二マスあけを使う。また、区切りに中点が使われている場合には、中点を多用しないで、二マスあけに変える場合が多い。しかし、内部にマスあけがない短い語が続く場合は、一マスあけでよい。
(例)点字研究部 代表 道村静江
     てんじ□けんきゅーぶ□□だいひょー□□みちむら□しずえ
   幼稚部・岩屋、小学部・野口
     よーちぶ□いわや、□しょーがくぶ□のぐち
   中学部・斉藤の、普通科・大沢
     ちゅーがくぶ□□さいとー□のぼる、□ふつーか□□おおさわ
   研究企画部・研修案内 けんきゅー□きかくぶ□□けんしゅー□あんない
   幼児・児童・生徒   ようじ□じどー□せいと
   視覚障害児・者    しかく□しょうがいじしゃ
<読点の指導>
 読むときの煩わしさなどから、読点を用いない傾向が長く続いていたが、最近では原文通り使われるようになった。特に、点字使用者がワープロで墨字文書を書く時に、読点の使い方に熟知していないととても困ることから、教科書等を読む時にどこに読点が使われているかを意識して読むこと(往々にして無意識のうちに読み流してしまう)、自分が書く点字文に積極的に読点を使う練習をしておく必要がある。点字はマスあけが読点の変わりにもなりうるので、ついマスあけだけで対応してしまいがちだが、文の流れを考えたり、墨字文字では文字が続くことへの読みにくさを考えて、適切な場所に読点を使える指導を行う必要がある。

3.囲みの符号 <p57 2.>
 ・記号だけでなく、必ずマスあけとセットで覚える
 ・囲み符号の内側は必ず続ける。(段落挿入符以外) <第1優先順位>
 ・墨字文の形とは必ずしも一致するとは限らない。意味を考えて使用する
(1)カギ類 <p58 (1)>
      第1カギ    第2カギ
      ふたえカギ 
 ・会話や引用文、強調に使う。
 ・第1カギは主に「 」との対応が多い。他に、‘ ’ “ “、下線、傍線、ゴシック体、活字体などにも使うが、あまり使いすぎてもよくない。
 ・第1カギと区別して、他のカギを使う場合には第2カギを使用する。この第2カギは、様々な形の墨字のカギの対応となる場合が多い
 ・第1カギの中にもう一つのカギが必要な場合には、ふたえカギを使う。墨字の『 』に大体対応しているが、単独で用いられているこの記号には、第2  カギで対応する。

(2)カッコ類 <p58 (2)>
      第1カッコ   第2カッコ
      二重カッコ 
 ・説明挿入の意味で使う。
 ・語句の説明の時は、その語句のすぐ後にマスあけなしで用いる文が終った句点の後にカッコを使う場合は、二マスあけて用いる(記号の優先順位の意味合いから)。このときは文全体の説明をする意味合いを持つ。
 ・語句のすぐ後に続けてカッコを使いたいが、行末に続けられるだけの余裕がない場合はカッコの前で行移しをしてもよい。(それでも直前の語句の説明をしていることになる。)コンピュータなどでは自動行末処理があるので、一続き全部が行移しされてしまい、行末が不自然なくらいあいてしまうことがある。そんな時はちょっと手間でもカッコから行移しをする。
 ・墨字では、〔 〕[ ]{ }〈 〉《 》【 】などの様々なカッコが使われているが、文意から説明であるときには第1カッコを使い、強調であるときは第1カギを使う。2種類のカッコが必要なときには第2カッコを用いる。