日本点字事情
かわら版

横浜市立盲学校

点字研究部

文責 道村静江
2005年5月31日発行 NO.50

   第2回 点字研修会 Part2 「分かち書き その1」

その1 自立語と付属語
 1.まずは意味を持つ言葉の自立語とくっつき言葉の付属語の区別をきちんとしましょう。とくに、助詞・助動詞の種類は9頁の表に書いてあるので、何度も眺め、頭に入れておくといいでしょう。ここで、覚えたつもりでも、後で形式名詞が登場してくるとまた頭がグチャグチャになりかねません。とにかく、その言葉そのものに独立した意味があるのかないのかを判断することが大事です。意味があれば自立語、意味がなければ付属語と覚えておくと便利で、文法でうまく説明がつかない人は、くっつき言葉の感覚を養うことが大切です。  <p8 1.2.>

 2.助詞・助動詞の中で初心者がよく間違えやすいものは、「くらい、など、ばかり、ほど、より、させる」などです。また、「女ですもの」の「もの」は終助詞で、この言葉の中に「物or者」という意味はありませんよね。形式名詞との区別でよく間違える言葉です。 <p9 2.>

 3.助動詞のうち、「ようだ」「らしい」「みたい」「ごとし」伝聞の「そうだ」は、意味を持つかのようにとらえられがちな(形式名詞として)言葉ですが、続けます。特に「ようだ」はつい切ってしまいますが、間違いです。  <p9【注意1】>

 4.さて、問題の「形式名詞」とは何でしょう?
「もとの意味を失って形式的に用いられるもの」と定義がありますが、それだけでは分かりません。国語科以外の人にはほとんど分からない分野です。運のいいことに10頁の《参考》に形式名詞の一覧表があり、その全部に漢字が当てられています。昔はこの漢字が当たり前のように使われていたようですが、最近では仮名で書く言葉が増えました。また、多くの言葉が仮名で書いても変に思わない時代になりました。最近は「とき、こと、ふう、ところ」は仮名で書くのが当たり前になっているのをご存知ですか?時々「時、事、風、所」と漢字で書く人がいますが、「この人、古いぞ!」と思ってしまいます。私は、これらの漢字そのもののはっきりした意味までは持たないけど、このように漢字で当てはめられる言葉を形式名詞と何となく理解しています。それで十分でした。この形式名詞の表も何度も見て頭に入れましょう。全て区切ります。<p10 3.>
                                   
 5.せっかく覚えた形式名詞と同じものなのに、助詞や接尾語があります。
この区別が何ともはや難しい!「当たり、あまり、度、こと、もの、風、ほど、目」と【注意1】に例が載っていますが、その他にもあるのでしょうか?よく分かりませんが、これらの言葉は要注意として意識し、その都度悩んだり調べたりしましょう。
「点字表記辞典」が便利です。  <p10【注意1】>

 6.同じ漢字でも音訓の読み方によって書き分ける。
 つまり、訓読みならばすぐに意味が分かるので、独立した言葉として区切る。音読みだと単独では分かりにくいので、続けた方が分かりやすいということです。
 ここにあるのは、形式名詞の例ですが、よく似た例で助詞の「など」はもちろん続けますが、漢字で「等」と書いて「など」と読ませる場合は助詞なので続けますが、「とう」と読ませる場合は意味をはっきりさせるために区切ります。  <p11【注意2】>

 7.こそあど言葉は区切る。
 しかし、後ろに助動詞が付く場合は続けます。「そう□いう、そうだろう」のような区別をはっきりつけておきましょう。また、「一語になりきっている言葉は続ける」と【注意】にありますが、よく間違えるのは「そうして、どうして、この間、そのうえ、そのくせ、そのうち、その節、どのみち」などのように違う意味になってしまう言葉は続けますので注意しましょう。
 こそあど言葉ではないですが、「我が」という言葉は区切りますが、「我が□家(イエ)、我が家(ヤ)、我が□国、我が□子、我が□社、我が□世、我が輩」この区別分かりますか?一語になっている感覚が分かりますか?「点字表記辞典」で調べて感覚を身につけましょう。  <p11 4.>

 8.補助動詞は切る!
 補助動詞とは、12頁の《参考》に説明が載っています。よく理解しましょう。本来の意味を失った言葉や「〜て」の後ろは切ると覚えてしまいましょう。ほとんどの人が続けてしまいます。
 後半に「複合動詞」が出てきます。この区別がまた難しい。私は意味の重さの違いに着目して理解しました。補助動詞は、後ろの言葉が軽すぎるので、はっきり区別をつけるために切る。複合動詞は、同じような重さの言葉がつながるので、区別できにくいので続けると理解しました。 <p11 5.>    複合動詞は <p22 5.>

〔練習問題〕「点字表記辞典」を調べてください。

  出発にあたり 一人あたり 目の当たり 目の辺り ここらあたり 来年あたり

  見る度 この度 三度(ミタビ) うまいこと ことあるとき ながいこと

  私事この度 今をさること さることながら どんなものだ それでいいこと?

  きれいな花だこと 言ったものですから そうですもの 多いほど 年のほどは

  これほど 錯覚するほど 不思議なほど ご容赦のほど こういうふうに 紳士風

  喜ぶあまり 一月あまり あるがまま ありのまま そのまま 見たままを

  そのはず 着くはずだ その方(ホウ)へ行く その方(ホウ)は何者? 歩く方が

  その場に その場限り その辺にいる その方を見る どのくらい どのあたり

  どの辺に どの道一緒だ どの道も一緒だ あの子 あの日 あの手この手