日本点字事情
かわら版

横浜市立盲学校
点字研究部

文責 道村静江
2002年2月27日発行 NO.39

「日本点字表記法2001年版」 改訂内容解説2

 3.今まで「特別な用途に用いる付加記号」だったものの動向
 (1)小文字符 <表記法 第2章 第2節 6.【注意】P19>
 今までも付加記号としての同じ小文字符がありましたが、情報関係表記が多くなってきた時代に合わせて、正式の記号として登場しました。情報関係の解説書などのように、小文字の「ぁ、ぃ、ぅ、ぇ、ぉ、ゃ、ゅ、ょ」を書き表す必要があるときは、小文字符を前置します。
  ぁ ぃ ぅ ぇ ぉ      ょ
 ただし、小文字の「っ」は小文字符を前置すると、拗濁音の(ぢゅ)に誤読されるので、常に促音符で書き表します。
 この小文字符の使い方は、墨字の小文字を明確にするときなどの場合にのみ使い、一般の点字表記で、拗音や特殊音などを表すために用いることは決してない。

 (2)畳語符 * 削除
 (濁点の付いた畳語符* 半濁点の付いた畳語符* も同様の扱い)
 今まで、各々 高々 方々、擬声語・擬態語などの繰り返し言葉の時に使われることもあったが、使用頻度も低く、外国語引用符の開き記号との区別が難しいので使わないことになった。

 (3)行末のつなぎ符  * 
 今までのように日本語文中では使わずに、数学記号の中で数式の継続を示す時にのみ使うようにした。

 4.今まで「必要に応じて用いる付加記号」だったものが正式採用
 (1)伏せ字記号 <表記法 第4章 第4節 1.2. P68〜69>
   ○  (マルのマ)      ( )のように覚えると便利かな?
   △  (△に見えるとがった ミ)
   □  (□に見える角張った ム)
   ×  (すべての代表 メ、そして数字の伏せ字にも使われる)
   その他  (マ行の残った文字 モ)

 その使い方は、今までの使い方と同じです。大体が他の文字との組み合わせで書かれてあることが多いので、つなぎ符の使い方に気を付けましょう。また、墨字に○印や×印が書いてあるからといって形に対応させるのではなく、隠したことを表す伏せ字の意味で使うことに注意してください。
 伏せ字の前後は分かち書きの規則に従う。ひと続きに書き表すべき1語中の一部に用いる場合には伏せ字の前後ろの文字との間に第1つなぎ符をはさんで続けて書き表す。伏せ字の後ろに助詞や助動詞がくる場合は一マスあけて書き表す。
 例: 横○市 ヨコシ   □□まで行くマデイク
    JK△△、××kHzでした。
      □デシタ。
 また、数字の伏せ字にはを使い、連続する数字の途中にある場合には前後につなぎ符はいらない。桁数を合わせる必要があるときには、Dの点を省略して
 だけで使うことができる。

 (2)マ−ク類の符号 <表記法 第4章 第4節 3.4.5.6. P69〜71>
 以下の4種の点字符号は情報処理用点字とも密接に関連するもので、日本文中、英文中、情報関係解説などの場面に応じて適切に使い分けなければならない。日本文中での使い方は用途に応じて正確に使わなければならず、書式の飾り符号として安易に使ってはならない。

  %(パーセント) 
 アルファベットの「p」を用いてあるのでアルファベットと同じ用い方をする。(一語中の時はつなぎ符を用いる、助詞・助動詞が後にくるときは一マスあけるなど)また、数字の後に用いるのが一般的であるが、「数」「何」などのおよその数を表す仮名に続けて書き表すことができる。頁番号を表すときには、数字の後に付けるとこの%と間違えやすいので、pを前に持ってくるのが一般的である。

  &(アンドマーク) 
 DEの点を前置してあるが、アルファベットにはない文字を当てはめている。前後ろを一マスあけて書きあらわす。アンドマークは日本語文中で用いられる符号であって、外国語引用符を用いて書き表す英単語や英文中にでてくるアンパサンド(&)には用いない。
    例: Q&A    

  #(ナンバーマーク) 
 DEの点を前置してあるが、アルファベットにはない文字を当てはめている。 電話のプッシュボタンや順位数を示すときに用いられる「シャープ」や「井げた」と呼ばれる記号で、前後ろのマスあけはアルファベットと同じような扱いをする。(後ろに助詞・助動詞がくる場合には一マスあける)また、外国語引用符の中の英単語や英文中にでてくる#の符号には用いない。
  例:3#の □ノ   #50の 

  *(アステリスク) 
 DEの点を前置してあるが、アルファベットにはない文字を当てはめている。 前後ろのマスあけは、ナンバーマークと同じような扱いをする。
 このマークは、特殊な文字の1種として用い、墨字でアステリスク型のマークが文中注記符や星印類の意味で使われている場合には、それらの記号を用いて書き表すことに注意しましょう。(自動点訳ソフトを使った時の変換にも注意!)

 (3)発音記号符な <表記法 第2章 第3節 16. P28>
  発音記号符   ** 
  第1ストレス符 *  第2ストレス符
 発音記号は前後ろを発音記号符で囲む。この形は、文中注記符に数字をはさんだものと同じだが、文中注記符の時には数字しかはさまないのに対し、文字(アルファベット)をはさむことによって発音記号だと区別できる。
 ストレス符は、発音記号符の中だけで用い、該当する母音の前に付ける。