日本点字事情
かわら版

横浜市立盲学校
点字研究部

文責 道村静江

2000年6月28日発行 NO.27

  『日本点字表記法 2001年版』改訂原案骨子 part2

 6.現行では、外国語引用符の記述はほんの少しでした。でも、最近は日本文中に英単語などがよく使われる傾向から、外国語引用符**を積極的に使いましょう!という動きが出て、その使い方の注意が載るようになります。アルファベットを書き連ねるという記述感覚を改め、外国語引用符を使うと内部には外字符の前置がいらなくなりますので、大文字と小文字の区別だけでよく、英文を書いているような感覚になりますから、どんどん使いましょう。だけど、外国語引用符の前後のマスあけが問題となることを覚えておいてください。
 「一続きに書き表すべき1語中では、外国語引用符の前の仮名とは続け、後ろの仮名とは第1つなぎ符をはさんで続けて書き表すことを原則とする。なお、外国語引用符の閉じ記号の後ろに助詞や助動詞がくる場合には区切って書き表す。」

 7.ホームページやEメールのアドレスなどを表す場合、どう書いていいのか困りますよね。それもちゃんと載るようになります。
「情報処理用点字のナチュラル表記を用いる」とありますが、これはどんなものかはまた勉強する必要があります。
 例を参考にしてみると、まず内部が情報処理用点字で書かれていることを示す囲み符号 (**)で前後をくくります。E-mailは単なる英単語ですから外国語引用符でくくり、その後を1マスあけて、次の情報処理用囲み符号と区別しています。
 「:」はを使います。ただし、ホームページのhttpの後の「:」はこれを使いますが、E-mailのあとの「:」は、説明の小見出し符的に使ってあるので、情報処理用点字の
: ()は使いません。ところで、この記号は日本文中では第2小見出し符として使われているものです。知っていましたか?ですから、こだわればE-mailの後に第2小見出し符として**を使いたくなるかもしれませんが、情報処理用と紛らわしいのでここでは我慢するということでしょう。
 さらに注意としては、英文中の記号で「:」はですが、これは日本文中でも情報処理点字にも使われません。便利帳の記号一覧のところで見つけたからといって喜んで使わないでください。
 ドット(.)はです。アットマーク@はです。オーバーライン()とチルダ()は墨字での表現は異なりますが、情報処理用記号として同一ですので、点字ではどちらも同じを用います。
 また、ホームページの例の2行目の行頭にCの点の1マスがあるのは、行継続符()といい、論理的な1行が点字で2行以上にまたがるときに、点字の2行目以降の行頭に置きます。
 これらの書き表し方は、今からどんどん使ってもいいと思いますので、生徒にも教えてあげてください。
  例:  
    
       http://www.foo.or.jp/~yamada/HTML001.htm
      
       E-mail:yamada@foo.or.jp

 8.「名詞+する」の複合動詞
 これは、「かわら版 21号」でも紹介したような方向で落ち着きそうです。便宜的ですが、名詞と「する」の間に「を」「が」「も」「に」などをはさんで意味が通れば区切るという単純な法則に従えば、ほとんど問題がなくなります。
ただし、語幹と「する」の間が一体化していて、どうしても区切られないものを表記のきまりとしてどう表現するかというところで点字委員会は悩んでいるようですが、たとえ難しい文法用語が登場してもクリアーされる問題だと思います。
 ちなみに、例外として「する」を前に続けて書き表すものの文法的きまりが提示されましたが、如何でしょうか。例を見れば分かるのですが、きまりの書き方のBとCにもっといい表現方法はないものでしょうか?
 @連濁により、「する」が「ずる」になるもの
    例:応ずる  命ずる  信ずる  感ずる  論ずる  生ずる
 A「する」との結合により、促音化や撥音化等の音韻変化を起こすもの
    例:達する  接する  重んずる  軽んずる  疎んずる
 Bサ変の他に五段等の活用形があるもの
    例:愛しない(サ変) 愛さない(五段) 害する  略する
 C語幹が造語要素と認められるもの
    例:関する  反する  比する  有する  抗する  供する