日本点字事情 かわら版 |
横浜市立盲学校 点字研究部 文責 道村静江 |
1999年6月4日発行 NO.17 | |
【記号・符号の使い方 その2】 4.関係符号 @つなぎ符類 ** 第1つなぎ符 ** 第2つなぎ符 ・1語中で誤読をさけるために、第1つなぎ符が使われます。 (数字とア行・ラ行の間、アルファベットとカナの間など) 例:数字でよく登場するのが、_円、_列、_位です。気をつけて。 例:「ADL_研」「ADL_室」「ADL_的」など一語になっているアルファベットとカナの間に入れ、「ADL□の」「ADL□指導」のように助詞が続いたり、複合語のときは一マスあける。 ・動植物などの長い複合語などの切れ目に、必要のあるときは第1つなぎ符を、外来語の複合語などで、必要のあるときは第2つなぎ符を用いる。 A波線 ** 波線(〜) ・数量や時間・場所などの範囲を表すときに使い、前後のマスあけはしない。 ・墨字で波線が書いてあっても、範囲を表しているもの以外は他の符号に変える。その逆の、墨字の記号がいろいろであっても、範囲を示しているときには波線に変える。 B棒線・点線・矢印 棒線(−) 点線(・・・) 右向き矢印(→) 左向き矢印(←) 両向き矢印(⇔) ・必要に応じて使うが、前後は必ず一マスあけである。 ・棒線・点線は、長さを増すことはできるが減らせない。 ・矢印は、長さが増減できる。 ・点線は感情の省略によく用いられるが、語頭や語中に使うときには、点線の後ろはマスあけしなくてもよい。(□・・・的、)句点が続くときも、後はマスあけをしない。(・・・。) ただし、前は必ずマスあけをする。マスあけをしないと、「っっっ」になってしまう。 ・棒線は対等な関係を表したりするときにも使う。 C空欄記号 空欄記号 ・試験問題などでよく使われる。 ・空欄に番号や記号をつける場合は、記号を分割してその間に書かないで、前に持ち出して書く。その時には数字や記号が裸記号であっても誤読を避けるために、カッコやピリオドをつけて書く。カッコやピリオドと空欄記号の間はマスあけをしない。 D小見出し符類 ** 第1小見出し符 ** 第2小見出し符 ・見出し番号や記号がなく、小タイトルの後に文が続いている場合などに、使える便利な記号である。 ・箇条書きなどで、番号や記号がついていない項目の後にもよく利用できる。 ・項目で2段階の順位がある場合は、第1と第2小見出し符で使い分ける。 ・墨字の:(コロン)や;(セミコロン)には小見出し符を使い、英文記号のそれを当ててはいけない。 ・小見出し符の後は、必ず1マスあける。 E星印類 第1星印 第2星印 第3星印 ・墨字では注意を引く箇所に、★☆◎◇◆※*などのいろいろな記号が使われているが、それらにはすべて星印を当てる。特に、*(アステリスク)は情報関係等の記号に用いられる付加記号なので、墨字で見出しに使ってあってもアステリスクの点字記号は使わない。 ・種類分けをする必要があるときは、第1〜第3星印を使い分ける。 ・星印は、行頭二マスあけから書き始めるのが常で、星印の後は一マスあけである。 F文中注記符 文中注記符 ・欄外などの注と対照させるときに、その語句の直後にこの記号を使う。 ・墨字文では、*の記号がついている場合が多いが、間違っても点字でのアステリスクを用いてはならない。 ・注に番号がつく場合には、この文中注記符の点字記号を分割して、その間に番号をはさむ。 5.記号・符号の使用のときの優先順位 表記符号が二つ以上重なる場合、それぞれの符号が持つマスあけの規則によるとどうしても食い違いが生じることがあります。そこで以下のようなマスあけに関する優先順位が定められています。この順位に照らし合わせましょう。ちょっと難しいですが、★印だけは覚えておくと便利です。詳しくは表記法63〜64Pに載っています。(便利帳では簡単にしか扱っていません。) @第1順位 ★(1)句読符の前は続ける。 ★(2)囲み符号の内側は続ける。(段落挿入符はマスあけも含めての符号と考える。) ★(3)波線は前後を続ける。 A第2順位 (1)句読符の後ろは必要なマスあけをする。(文末は二マス、文中は一マス) ★(2)棒線・点線・矢印の前後は一マスあけ。 B第3順位 (1)囲みの符号の外側は、他の記号や分かち書きの規則に従う。 また、表記符号が重なって、別の表記符号と誤読されないように何らかの配慮をする必要があります。ちょっと難しいですが、記号や符号が重なったときは、記号・符号の一覧表の第一・第二・第三の種類までよく照らし合わせて確認しましょう。読点とカギやカッコ類が重なったときは、別の符号になってしまう場合が多いので、読点を省略します。囲みの符号で囲まれた語句が続く場合は、閉じと開きの間を一マスあけます。まずは符号が重なったときは注意して表記法をひもといてみましょう。 詳しくは表記法の64〜65Pに載っています。 |